美しきサイレント映画『アーティスト』

 モノクロ×サイレント×フランス映画という異色の作品でありながら、世界の映画賞を103部門も受賞! アカデミー賞でも作品賞他最多5部門を受賞した映画がついに公開されます。
 本作でアカデミー主演男優賞に輝いたジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョの二人が激動のハリウッド黄金期のスターを演じ、互いに惹かれ合う姿を甘く切なく描きました。
監督は1960年代のスパイ映画のパロディ作品『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』を全世界で大ヒットさせたミシェル・アザナヴィシウス。
本作でヒロインを務めるベレニス・ベジョとは私生活で結婚しており、二人の子供ももうけているそう。

 舞台は1927年のハリウッド。サイレント映画界の大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、新人女優ペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。
やがてジョージのアドバイスによって、ぺピーは人気女優になり、二人は強く惹かれ合っていく。
 1929年、映画産業はサイレントからセリフのあるトーキーへと移行。しかし、自身を芸術家と主張しサイレントに頑なにこだわるジョージは、サイレント映画の初監督と主演を務めるが、お客が全く来ず大失敗してしまう。
一方、ぺピーはトーキー映画の若手人気女優としてスター街道まっしぐら。酒に溺れていくジョージを心配するぺピーだったが、ふたりの距離はどんどん遠くなっていき…。

 モノクロ・サイレント映画というと、ピンとこない人の方が多いかもしれません。ですが、『アーティスト』はこのスタイルでこそ表現できた、今の時代にはないうっとりするような“ロマンチック”と、今の世界には足らない純粋な感動をあなたに提供してくれるのです。
一度見ればアカデミー賞をはじめ、世界各国の映画賞の審査員たちがこの映画に恋した理由がきっとわかるでしょう。
 現実を皮肉に見つめるのもいいけれど、たまには美しいバラ色のラブストーリーにひたってみては? 
相手を愛するという素敵な気持ちを、バージョンアップすることができるはずですよ。

4月7日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリー他全国ロードショー

監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
キャスト:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、マルコム・マクダウェル
配給:ギャガ
原題:The Artist/2011年/フランス映画/101分

Text/Michihiro Takeuchi