彼女は彼のすべてを理解してくれる。好きな食べ物も、趣味も全部知っていて、仕事でも良きパートナーとして活躍してくれる。
頭が良くて、気が利く。彼の要求すべてに答えてくれて、何よりも愛くるしい。
……なにそれその幻想。そんな彼女なんて存在するの?
まるでデタラメなラブストーリーです。そんな彼女なんて妄想っぽくてリアリティがない。出来の悪い映画じゃないか!
なのに、とてつもなくリアルだし大傑作なので困るんです。
彼女がsiriのような音声ガイドのAI(人工知能)だから、余計に困っちゃうんです。
人間と人工知能の恋愛という、いまだかつて味わったことのない斬新なラブストーリーをみせてくれるのはスパイク・ジョーンズ監督。数多くの著名アーティストのミュージックビデオを制作し、『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』など未体験の映像表現で活躍する彼が4年ぶりに監督・脚本を手がけます。
主演は『ザ・マスター』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたホアキン・フェニックス。その相手役は、AI。じゃなくて、ちゃんとした女優です。スカーレット・ヨハンソンがまるで実在する彼女のように、機械の声に温度を与え、声だけで表情を作っている。
下手したらまるで成立しない声だけのデートシーンやセックスシーンで、現実の彼・彼女よりリアルな恋愛模様を見せてくれます。
順従な音声ガイドに恋をする!ド直球のラブストーリー
【簡単なあらすじ】
そう遠くない、未来のロサンゼルス。
セオドア(ホアキン・フェニックス)は、他人に代わって恋人や家族へ手紙を書く“代筆ライター”として社内でも一目置かれている。でも、幼なじみだった妻・キャサリン(ルーニー・マーラ)とは離婚調停中。愛を失い、安らぎを無くし、途方に暮れていた。
そんな中、セオドアはある日最新式のAI(人工知能)OSの広告を目にする。興味本位で購入した彼が自宅でOSを起動すると、AIの女性・サマンサ(声:スカーレット・ヨハンソン)が親しげに声をかけてきた。
音声ガイドとしてセオドアのPCを自由自在に操り、仕事のパートナーとして万能なサマンサ。あまりに機械とは思えない人間味のある彼女に、セオドアは次第に惹かれていき、またサマンサも“制作の意図を超えて”、感情というものが芽生えていく——。