ルールがあるから安心することがある一方で、ルールがあるから信じられないこともありませんか？「浮気禁止」のルールを掲げるチーム公式は、一見そのルールに守られているようだけど、「浮気禁止」って。わざわざ言葉にしなくちゃダメなのか？それで例えば「わかった、浮気はしない」と相手が言ったとして、その言葉を信じられる理由は？信じてるから？だったら最初っからそんなルール掲げずに信じてみない？あ、そういうことじゃない？

　反対にチーム非公式は、そもそもルールを設けて相手に干渉することがルール違反。いつどこで何をしているかわからないけど、今ここで2人きりでいるってことを愛しましょうって感じでしょうか？一見とてもロマンティックだけれど、これじゃあ満足できなくなっていくのが私たち。好きだからもっと欲しくなって、わがままも言っちゃって、気づいたら暗黙の了解を破壊。どちらか一方の心のバランスが崩れたら関係性にヒビが入ります。そういう意味ではチーム非公式も、ルールに首を絞められてますね。

　結局ルールに苦しむ両チーム。でも2つのルールには微妙な違いがあって、私はこれ「言葉と行動」の違いなんじゃないかと思うんです。チーム公式たちは、「私たち、恋人になりましょう」という約束から始まって、「浮気しないよ」「君だけが好きだよ」「ずっと一緒だよ」等々、言葉で伝える愛情や信頼関係を大切にしている気がします。よく物語で見かける「好きだって言ったじゃない」って台詞も、相手がくれた言葉を大切に信じていたからこそ出てくる台詞ですよね。

　対してチーム非公式は、最初から約束して始まった関係性でないのもあって、言葉よりも今ここでの行動に注目します。「会いに来てくれた」「抱きしめてくれた」「一緒にいてくれた」約束されていないのに相手が自分のためにしてくれた行動。これがかけがえのないものなのです。

　でも、なんだかんだで逆のものも欲しくなってしまうもの。恋人たちはセフレを作って、セフレたちは恋人になろうとする。これじゃあいつまでたっても幸せになんてなれないんじゃないかと眠れぬ夜はやってきます。どうして、大切な人にもっともっと望んじゃうんだろう。大好き同士ってだけで超最高なのに今ここにないものばかり欲しがってメソメソする自分が嫌になります。そんな時は、一度自分がどっちの宗教なのかを考えてみませんか？

　「言葉」なのか「行動」なのか。今回は例として「恋人たち＝言葉」「セフレたち＝行動」としたけど、こんなの本当に個人によるから気にしないで。ここまで書いといてあれだけどマジで人によるからね。自分が本当に信じられて安心できるのはどっちなのかが分かれば、相手から何を欲しがれば良いかがわかって、なんとなく、取り除けない胸のつかえが溶けていくんじゃないかなと思います。

　もちろん、自分だけじゃダメだよ。私たちが「好き」って言葉だけじゃ足りなくなったり、会いにきてくれるだけじゃ安心できなくなるのと同じように、私たちの大切なあの人もこの人も、きっとどこか足りない夜が訪れているはずです。ここぞ！って時に、あの人が言葉と行動のどっちを欲しがっているのか。しっかり見極めて欲しいものをあげることができれば、きっと私たちめちゃくちゃモテます。頑張っていこうな。

Text／長井短

　デザイナー・イラストレーターのeryさんと、ライター・エディターの伊藤紺さんによる制作ユニット「NEW DUGONG（ニュージュゴン）」が2018年6月12日(火)、長井短さんをゲストに迎えてトークイベントを開催します！

■イベント概要
　性の多様化が進む昨今、いわゆる「女子・女性らしさ=モテ」の時代は終焉に向かっています。2018年【現在は】モテない制作ユニットNEW DUGONGが、 スペシャルゲストに同じく2018年【現在は】モテない演劇モデル・長井短を迎え、これからの時代にふさわしい「NEOモテ」を提案。モテ文化全盛期に思春期を脅かされた3人が新時代をこじ開けます。

■開催概要
会場：阿佐ヶ谷ロフトA
日時：6月12日（火） 19:00 open／20:00 start（2時間）
会場：阿佐ヶ谷ロフトA
参加費：2,000円+1drink以上
参加申込：https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/89616

詳細は公式HPで！