愛と執着の違いがわかる人間になりたい。

 ゴリラと人間は、ゲノム(全遺伝情報)で見たら1.75%しか違わないといいます。なので遺伝子レベルで見たら、私とメスゴリラはほぼ同類といっても過言ではありません。そう思うと、残りの1.75%が一体何なのかという疑問が生まれます。

 ゴリラだって恋をする。相手を思いやる。誰かが死んだら悲しむし、困っている仲間を助けたりもする。そう思うと、薄情な人間よりいくらか人間らしく、実に優しい生き物だと思います。

 それでも、ゴリラは過去を思い出して懐かしんだりするだろうか。槇原敬之の曲を聴いて涙を流したりするだろうか。愛していた分、ものすごく憎いという行き場のない感情を持ったりするのだろうか。晴れた冬の日に、一緒に暮らした家を掃除しながら、2人で泣いたりするのだろうか。

 はっきり言ってゴリラはゴリラなので、私にそれはわかりません。
ただ、1.75%の差があるのなら、その差はこの恋に自分で結論を出せたことなのかもしれない。

 たしかに、2017年は、毎日が迷路みたいだった。
自分の同情を愛情と間違えていたのか、愛情と執着を間違えていたのか、彼の乱暴さを情熱と間違えていたのか。

 何が正しい選択なのかは未だにわかりませんが、迷ったり悩んだりしながらも、自分の未来を自分の意思で選んでいきたい。メスゴリラではない人間としての自分で、幸せを探していきたい。けたたましいドラミングや求愛の投げ糞ではなく、もっと穏やかで、人間らしい愛を見つけたい。

 そんな風に思った、20代最後の恋でした。

Text/寿マーガリン

寿マーガリン
野良ライター
Twitter:@eiennikoukouseio
note:https://note.mu/kotobukim

次回は<僕は「恋人ならお互いの好きな寿司ネタを知らなければならない」と思っていた/服部恵典>です。
新年の恋へと向かうべく過去の恋愛にけじめをつける「忘恋会2017」。最終日は女性向けAVを研究する服部恵典さんです。「忘れてしまったことを忘れたい恋」は、ヤマシタトモコ漫画と関わりがあるようで……。