「選んでもらう」という考え方、いい加減やめませんか?

相談を拝読していて最初に思ったことは、どうして悩みが全部受け身なのかな? という疑問です。
“恋人はみんな最終的に私を捨てる”“愛してくれた男も私から離れていく”“彼にとって私など遊びのつもりです”
こんな風に、どこまでも男性を主語に置いて恋愛を考えてしまうと、そりゃあシンドイに決まっています。自分主体に進んで幸せを追い求めることができないのであれば、ましてや今後歩む道を自分で決断することだって難しいのではないでしょうか。

では、どうしてりりさんは主体性を持つことができないのでしょう。
これはもう大概ありきたりですが、要は自分に自信がないということが一番大きいのかなと思います。

女性の場合、10代にもなると早くも“女性的魅力”を求められます。それはつまり若さや容姿やスタイル、あるいは異性に対してはたらかせる愛想や機微、テクニックのことです。若いうちからそれらを磨く弛まぬ努力を強いられるからか、世の中はほんとうに可愛い女の子で溢れているなあと思います。
ところが、心身の成熟とともに年齢を重ねてくると今度はまったく別のものを求められるようになってきます。それが“人間的魅力”です。一時の遊び相手にするならまるで必要ありませんが、人生を共にするパートナーを選ぶにあたっては思いがけず重視される項目です。

そしてもっと言うと、女性的魅力はただ女であるというだけで誰しもある程度は備わっているものですが、人間的魅力は生き様や思考、行動、成しえたことなどによって滲み出てくるものです。身に着けるには、実は前者よりも後者の方がずっと難易度が高いのです。

りりさんはおそらく、女性的魅力は十二分に持っていて、当然自覚しておられることと思います。けれど人間的魅力についてはいかがでしょうか? それがりりさんにあるかないか、実際のところ私にはわかりません。でもりりさんの弱気はもしかすると、ご自身の人間的魅力に対する自信のなさに起因するものかもしれません。

もし自分に自信を持ちたいと思うなら、恋愛以外の人生のいろいろにまずは目を向けてみるのがイチバンです。仕事でも趣味でもなんでもいいのです。熱中してみる、真剣に向き合い続けてみる、結果を一つでも掴んでみましょう。それは自分の人生を主体的に生きることに他なりません。その努力によって芽生えた自信は、りりさんを今よりもずっと魅力的に見せてくれるはずです。

至極当たり前のことですが、世の中に男性なんて有象無象、掃いて捨てるほどいます。

りりさんが備え持つ女性的魅力に加えて人間的魅力まで身に着けて、自信を持ってこの世界を見渡せるようになったら、今度は主体的に男性を選べるし、捨てることもできる、あるいは好き勝手に遊ぶことだってできるようになるでしょう。
自分主体に焦点を合わせていくことで、いくらかは楽な気持ちで生きられるのではないでしょうか。どうか将来のりりさんが魅力的で、自信を兼ね備え、そしてこの上なく幸せでありますよう。

この連載では、引き続き皆様からの恋愛相談をお待ちしています。

“全てを諦めた”私が言うのは可笑しいかもしれないけれど、誰もに幸福を得る権利があり、可能性があり、そして力があるはずだと本心から思います。今それが見えなくっても大丈夫だし、悩んで泣き明かす夜があっても、いつかきっと思い出になります。

またお会いしましょう!

初出:2017.03.20

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Text/海坂侑

次回は <私が死ぬか相手を殺すか…既婚者への片思いが4年目に突入した27歳女性の話>です。
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