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  • 2016.12.28

「恋人を大事にしなければいけない」という呪い/朽木誠一郎

終わった恋の足跡を辿る、忘恋会2016。第二回目は朽木誠一郎さんが、かつての恋人との別れを振り返ります。追う恋愛/追われる恋愛とよく言いますが、そもそも論は「恋人をどれだけ大事にしているか・思っているか」。AM読者のあなたにとって一番大事なことをを改めて思い知らされ、2017年の恋愛の参考となるでしょう。

 終わった恋の足跡を辿る、忘恋会2016。
今年の締めくくりにふさわしいとっておきの恋愛納めコラムを厳選してお届けします。
一旦ケジメをつけて、来る2017年の新しい恋に備えましょう。

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 はじめまして、ライターの朽木誠一郎です。「忘恋会2016」というテーマで寄稿の依頼をいただきました。ありがとうございます、ふざけてんのか。

 AM編集部には仲の良い編集者がおりまして、なぜ僕が「終わってしまった恋の話」を書けと言われたのかは推して知るべし、です。

 さて、本題に入りましょう。恋人は大事にするべきもの、それはその通りです。でも、それが行き過ぎると、失敗を繰り返してしまうのではないでしょうか。

 もしあなたが恋人を大事にしているつもりなのに、恋人に大事にされていないように感じるなら、そのあたりに問題があるのかもしれません。

「尽くしてくれる」女の子と「恋愛クズ」だった自分

 僕は過去にかなりの恋愛クズだった時期があります。当時付き合っていたのが、いわゆる「尽くしてくれる」タイプの女の子でした。

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なんだコイツ(当時の自分です)

 4〜5年に渡る同棲期間中、彼女は朝晩の食事の準備や、田舎だったので車の送り迎えなど、何でもしてくれたし、浮気がバレたときも(表面上は)許してくれました。

 よく追う恋愛・追われる恋愛と分類されますが、当時はまさに追われる恋愛でした。そして、ウサギとカメの寓話のように、追われる側というのは調子をこきがちです。

 日増しにクズ度の増す僕に、彼女はよく、「こんなに大事にしているのだから、もっと大事にしてほしい」と言いました。

 さすがに罪悪感を覚えたので、ある年のクリスマスイブ、彼女の好きなディズニーランド旅行をプレゼントすることにしました。ディズニーホテルのお泊り付きです。

「これで許してもらえるだろう」と思っていたのが僕の浅はかさ。積もりに積もった不満は最悪のタイミングで噴き出しました。エレクトリカルパレードです。

 シンデレラ城近くの抜群のロケーション、キラキラ輝くミッキーの乗り物の前、彼女は突然「どうしてあんなこと(浮気)したの?」と言いました。

 僕はやはりクズだったので、そこからは大ゲンカです。結局、それをきっかけに別れ話が始まりました。ついに愛想を尽かされてしまったのでしょう。

 最後に「あなたとは一生関わり合うことのない他人になりたい」というメールが送られてきて、彼女とは以降一切の関係を絶たれました。もう10年近く前のことです。


「次で取り返す」のはギャンブルのような恋

 すぐに改心したわけではないのですが、僕もしばらくして追う側になり、そのときに決めたのが「恋人のことを大事にしよう」ということでした。

 でも、「恋人のためなら何でもする」「ひどいことをされても許す」というスタンスだと、不思議と要求はどんどんエスカレートするし、よりひどいことをされるようになります。

 ウサギも、追ってくる相手がカメじゃなくてウサギだったら、多分昼寝なんかしなかったんじゃないか、と思うんです。

 どんどん悪い方に変わってしまうこれまでの彼女たちは、まるで過去の自分を見るようで、ああ、これは「恋人を大事にしなければいけない」という呪いだな、と感じました。

 過去に恋人を大事にできなかった経験から、過度に恋人を大事にしようとしても、立場が逆転してしまって、結局恋愛は上手くいきません。

 そもそも、恋愛においては、いつでも「大事にしたら大事にしてもらえる」というような公平な取り引きができるとは限らないのです。

 それでもリターンに期待して不利な投資をするというのは、合理的じゃない。「次で取り返す」からと止められなくなっている姿は、ギャンブルにも似ています。

2017年、呪いを断ち切るために

 この呪いを断ち切るには、追う恋愛・追われる恋愛というような、非対称的な付き合いを止めるしかありません。

 もちろん、公平に付き合えるような恋人を見つけるのが一番難しいし、恋愛において合理的な選択ばかりする必要もないのですが、消耗戦はしんどいのも事実。

 2016年にちょうど三十路に差しかかった僕は、2017年こそ落ち着いた恋愛をしていく所存です。来年こそちゃんとした大人になりてえよ。

Text/朽木誠一郎

朽木誠一郎
86世代の編集者/ライター。座右の銘は「憎まれっ子この世に憚る」です。
ツイッター:@amanojerk

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