来年もずっと、誰かを好きでありたい

 「今後の目標は?」と聞いたら「そんなのないよー」とおどけた口調で言われた。
「じゃあ、来年は何してたい?」に、酔っ払って背もたれに頭をもたげるハナちゃんは答えた。

ずっとずっと誰かを好きでいたい。それが旦那でも旦那じゃなくても、甥っ子でも人でなくてもいい! 今日も明日も明後日も来年も、誰かを好きでいたい。そうしたら、なんか頑張ろうってなるじゃん」

 そうやって私たちを見つめる目も、酔っ払いの愛にあふれていた。

「で、最終的には旦那より先に死にたいよね。遺影も準備してるし、入りたい墓も決めている。自分の墓くらい自分で決めたいよ」

 今を楽しみ、やりたいことをやる。初めから最後まで、それが貫き通されていた。
遊んで、毎日楽しくて、一緒にいる人を楽しませて、何が悪いんだの気分になる。
「何かに一生懸命になっていなくてはいけない」「努力しないと向上しない」そんな、若者に言うような格言は、もうこの人には通用しないと思った。

 中目黒で出会った42歳、ハナちゃん。しっかり年相応のおばさまだった。
「若い人なら」「今の人は」そんな表現を多用するのは、自虐なんかじゃない。この歳まで生きてきた自分を誇り、当たり前に「自分はもう若くない」と思っているだけの話。
最後に、私が最近ちょっと恐れていることを聞いてみた。「女としての武器が通用しなくなっていくのってキツくないですか?」

「んー、でもいくつになっても、私を受け入れてくれる人はいるからね」

 生きていくのが楽しみになるくらいの、ハナちゃんとの出会いだった。

 そして次回、ハナちゃんの友達・真由子さん47歳。
ハナちゃんとは全く違う雰囲気をまとった、広告代理店でバリバリ働く独身女性。自分の話を一切してくれない、企画泣かせのお姉さんであった。
そう簡単に人に心を開かない、これもまた、しっかり生きてきた大人の生き様そのものであった。

 街ゆくリアルな恋バナがここにある…! 次回も乞うご期待!

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次回は<「好きな人と結婚したい」全然無理してない47歳キャリアウーマンの潔い結婚観>です。
中目黒で出会って初めましてで7時間弱べろべろに酔っ払いながら恋と人生について語ってくれたハナちゃんに続いて自身の恋愛を語ってくれたのは広告代理店勤務の真由子さん。精力的に動く日々とは裏腹の恋愛に関して嘘偽りなく語って頂きました。