「女の子だから…」女扱いとの葛藤。元ガテン系女子のリアル/椿

ガテン系女子とは

MCバトルで歌い上げるラッパーの椿さん

『ふざけんなよ私は15の頃から中卒肉体労働者』

 これはあるMCバトルで、対する男性ラッパーから性別を揶揄したDISをされ、その切り返しで私が放ったアンサー。
その模様がyoutubeにアップされたことをきっかけに、知る人ぞ知る私のバックボーンは時折前に打ち出されることになった。

「ガテン系女子ラッパー」と形容されることもあるが、それほど強烈なインパクトを与えることができたのも、世間から見たらいわゆる“マイノリティな選択”だからだろう。

 冒頭の言葉どおり、私は中学を卒業後「型枠大工」になった。突飛な選択だが、理由があった。

 15才。ラッパーとして活動を始めてまもなくの頃、早々とある壁にぶつかった。
それは「ただの女の子」であるということ。
私自身が自分をただの女の子、と自覚していたわけではない。
どんなラッパーにも負けないかっこいいラッパーになりたい。私ならなれる。そう信じていたが、どんなに強気なリリックを歌っても「言葉ではなんとでも言える。ただの女の子でしょ?」と一蹴されてしまう空気を打破できなかった。
それが当時の実力といってしまえばそこまでだが、私は抵抗できるだけの実績、裏打ちが必要だと考えた。

 ステージ上だけかっこつけるだけじゃただの女の子として扱われてしまう。生き様から鍛錬せねば!

 真っ直ぐでもあり、捻くれてもいた。
なめられたくない。険しいのは百も承知。
敵陣に乗り込むような気持ちで女一人、肉体労働の世界に飛び込んだ。