駅前でナンパをし、恋バナを聞かせてもらうこの企画。「オシャレな街に行こう!」の合言葉のもと向かったのは、中目黒。
オシャレっ子たちに断られまくる我々を救ってくれたのは、馬肉屋さんに向かう二人組みのお姉さんでした。
「乾杯は泡で!」とシャンパンを頼み、さらにチェイサーにとビールを頼む。はじまりからして、前回の高円寺飲みと違い過ぎる…。
聞き上手な2人を前に、気づけばこっちが気持ちよく話を引き出され「いや、私たちじゃないから! 2人の話を聞きたいから!」を何度も繰り返す。オトナ感満載な、7時間に及ぶ飲み会の模様です。
ハナちゃん、42歳専業主婦の場合
「こんなにも明るい人がこの世に居るのか!」というほどに、華やかでパワフルなハナちゃん。その面白さと人懐っこさに、年上の女性相手ながら“ちゃん付け”で呼べでしまう。
生まれも育ちも恵比寿で、建築士の旦那さんと今も恵比寿に住み、ヨガに通う専業主婦。そんな肩書きに「セレブや!」と突っ込みながら、ハナちゃんの恋と人生を聞いてみた。あまりのエピソード量とプロ顔向けの語り節は、映像でお届けしたいくらいだ。
「小6で163cmあったもんだから、そんな子がランドセルなんておかしいでしょ? 早々にランドセル捨ててマニキュアもして、先生に“あなたは不良です”って言われてた」
恵比寿が実家となれば、小学生時代から遊ぶのは原宿。体の成長が早かった少女は、瞬く間に心も大人になっていった。
「中1のときに高3の部活のOBと付き合い出した。まぁ1年くらいで終わって、ほかの先輩とか、同級生とも付き合ったかなぁ。放課後は渋谷で遊ぶもんだから、補導されるのは日常茶飯事。“補導”って今の子も知ってる?」
中1で高3に恋をされるほどの可愛さだ。よくスカウトされ、有名芸能事務所が自宅まで交渉にきたこともあるという。
そんな「自慢話」にもなるようなエピソードが「笑い話」として聞こえてくるのは、初対面の私たちをとことん楽しませようとしてくれる、気遣いハナちゃんの為せる技だ。
早熟で華やかな中学時代を経たハナちゃんはその後、高校を不順異性交遊で退学することになる。
パワフルに恋をし続けた、渋谷の女子高生
「高1の時に27歳と付き合いだしたんだけど、高校生だからさ、手帳のエッチした日に星マークなんてつけてたんだよね。それが先生に見つかって、教育委員会にかけられて、謹慎処分になった。すごいお嬢様学校だから、前例もなくて…」
渋谷の109でバイトをしていたハナちゃんは、バイト先の上司と恋に落ちた。そして、謹慎処分となった。謹慎期間がテスト期間と重なっていたこともあり、単位が足りなくて退学処分となった。
ほかの高校を再受験しようとするも、退学となったのは年度末。ほとんどの学校の入試はもう終わっていた。唯一受けられたのが、偏差値30くらいの“バカ高”だった。
「都内の生え抜きの不良たちが集まってくる、クソバカ高。そこで初めて、やっぱ渋谷区は荒川区や江戸川区とにおいが違うな、と知ったよね」
そんなネタのような言葉を吐いて、立て続けにお代わりを注文する。乾杯のシャンパンボトルは文字通り一瞬で空になった。
焼酎のロックをもう5杯は飲み干しているだろうハナちゃんの話術は、どんどん勢いがついていく。次々と変化する声色、七変化の表情。彼女の話を聞かせてもらっているこちら側が接待されているような気分だ。
ふたつ目の高校に順調に馴染んでいったハナちゃんが次に恋した相手は、ホスト、だった。
「完全にハマって店に通えども、お金は無いから、洗い物を手伝ったりしてたよね。なかなか相手にしてくれなかったけど、最初で最後に一回だけ、卒業式の前の日に抱いてくれた」
朝までホスト君の家に居て、そこから卒業式に行ったのが、学生としての最後の日だった。すんごい厚化粧とソバージュ、ショッキングピンクな口紅で卒業式に行ったという。そう、時代はバブルだった。
「高校の卒業旅行は香港とシンガポール。重くてしょうがないのに、ショルダーベルトもない大きいヴィトンのバッグを懸命に持ち歩いたよね」
そうしてハナちゃんは、社会人になった。入社式には、ヒョウ柄のスーツで出席した。
≫パワフルに恋をしよう≪
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