40歳になった途端
タイトルの時点で綾がボロボロに…

 ……ところが。ところがである。連載最終回、40歳となった綾の語る言葉に、私は衝撃を受けた。勢いだけはあった綾が、勢いに任せていつだって頑張ってきた綾が、40になった途端、最早人生終わったかのような不幸面をしていたのだ。

 この回のタイトルは「40歳になった女性・綾が住む街…それでも、女の人生は続く」。タイトルの時点でもうボロボロ、傷だらけの戦士みたいだが、冒頭の文章もタイトルに負けず劣らずお通夜ムード。

“あなた、私のこと、どう思ってますか?
「イタい」って見下していますか?「あんな風には、なりたくない」と反面教師にしていますか?もしくは、自分と関係ないおばさんの話を、笑っているかもしれませんね”

“「ああはなりたくない」って強く思ったら、そうならないように、20代、30代頑張るんですよ。私は、いろいろと全力で回り道してしまったけど、そうなりたくないなら、今踏ん張るしかないんです”

 頑張る、踏ん張るって一体何だ。漠然とお茶を濁すんじゃない。
私は悲しかった。40歳の綾が何でそんなに不幸なのか。そもそも女が歳をとるって、本当にそんなに不幸なことなのか。綾にはどんな頑張りが足りてなかったというのか。とにかく、一度きちんと総括しなければならないと思ったのである。

Text/紫原明子

【紫原明子 プロフィール】
 エッセイスト
1982年福岡県生。2児を育てるシングルマザー。個人ブログ『手の中で膨らむ』が話題となり執筆活動を本格化。『家族無計画』『りこんのこども』(「cakes」Webマガジン)、『世界は一人の女を受け止められる』(「SOLO」Webマガジン)を好評連載中。