「愛されたい女」は不倫するしかない国・日本/バリキャリ女子の不倫沼(1)

世間体を守ることで「愛され女子」になれた時代

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 私が結婚して驚いたのは、周囲の既婚者が「私、不倫してるんだ」といっせいにカミングアウトしてきたことでした。結婚して世界が広がった・・・・・・いえ、恋愛沼が深くなりました。
でも、不倫の話を聞くのは日本人の友人ばかり。ヨーロッパに住んでいる友人からは聞きません。それは、なぜ?
今回は、恋愛沼の中でも最も深い、不倫沼の仕組みをインタビューも交えて解明していきたいと思います。

 むかし、結婚は「世間から愛される」ために必要な儀式でした。結婚相手を親が選ぶことも多く、夫婦は愛情よりも情(なさけ)の関係で成り立っていました。「好きな人」は「結婚する人」ではなかったのです。

 実は昔の結婚制度には、大きなメリットがありました。「彼の愛情を期待せずにすむ」という点です。結婚がそもそも愛情ではなく「勝手に決められる」ものなら、毎朝おはようのチューや、結婚記念日のディナーを求めることもありません。
長年連れ添って「あなたで良かったわ」と言葉をかけることはあっても、それは「貴社がお取引先で助かりました」という”仕事上の信頼”に近い感情のはずです。

「彼の愛情を期待しないのが当たり前」なら、幸せはそれ以外の分野――たとえば「世間体を守って認められる」ことで実感することができました。村の衆に「あの子はよう頑張って家を守っておる」と言われれば、それを「幸せ」と多くの人が感じられたのです。