新たなステージに飛び出していく翼になるのは、歌の力かもしれない。

肉乃小路ニクヨのニューレディー入門 Betty Nudler

 9月の連休はイベントにお呼ばれして札幌に行ってきました。
札幌はとても素敵な街で、仕事やプライベートも併せると10回以上は訪ねています。
北海道に来る度に私はアメリカに来たかのような感覚に襲われます。
同じ日本なのに、東京から飛行機でわずか1時間半なのに、
海外に来たような感覚になるのです。
それは私の思い込みと言われればその通りかもしれません。
でも未開拓の地に明治以降踏み込んで行ったその歴史や
実際に東京近郊では見られないような原野や荒野を見ると不思議とそういう感覚になります。
 
 そんな札幌で私は今回、ゲイナイトにお呼ばれして、ショウをして来ました。
今回行ったのはリップシンク(口パク)のショウです。
リップシンクというのは、はるな愛先輩がやっていたエアあややのようなもので、
その場で聞こえるのは歌手の方の音源で、その音にリップ(唇)をシンクロ(同調)させるものです。
衣装やフリも シンクロさせて音源の本人になりきるも良し、
本人に成り切らなくても新しい世界観を作るも良し。
そのショウで私が一番得意にしているものは松坂慶子さんの歌う
ボンボワヤージュという曲です。今回、札幌でも披露させていただきました。

ボンボワヤージュ

 ボンボワヤージュは別れのシャンソンの定番曲です。
別れを旅立ちと捉えて、最後「ボンボワヤージュ(良い旅を)」と言って
サヨナラをする歌です。

 松坂慶子さんのバージョンは
岩手県花巻市の大きい旅館の一人息子だったオカマバーのママが
60歳過ぎて故郷に帰りたいと思いながら、帰れなくて、
最期、自分の旅館の前で行き倒れのように死んでいった
というエピソードを絡めて、そのママとの別れを歌ったものになります。
私も元は田舎の一人息子で、地元では母がまあまあ頑張って良い家に住んでいます。
だからこの歌に出て来るオカマバーのママの気持ちがとてもよく解り、
自分も同じ境遇でこうやって行き倒れのように死んでいくのかなと思いながら、
このショウをやっていました。
そのせいか気持ちの消耗が激しく、これまでは年に2回くらいしかやってきませんでした。