光と影を間近に見る

 AM読者の皆さんには、さすがに健全性を鵜呑みにする人はほとんどいないと思いますが、なぜ健全性が世の中でこんなにアピールされるかという理由はよく理解しておいた方が良いです。
それはその裏に必ず後ろめたいことがあるからです。
後ろめたいことを隠すために健全性という光にフォーカスしているのです。

 ブラック企業の方が、誠実さや爽やかさをアピールするCMを打ちますね。あれは後ろめたいことを隠すためのものです。
ジョークとか面白いCMを打つ会社の方が、それなりに社内にユーモアが通じるということがわかり、その会社の余裕のようなものを感じるので私は好きです。

 そんなわけで、汚れた大人が世界中から集まってきて、健全さを隠れ蓑に暗躍するオリンピック。
近頃では普通のアスリートの健全さマジックも大分薄れてきたので、健全イメージのより強いパラリンピックも抱きこんでいるのは?と疑いたくなるようなイベントですが、私はオリンピックが好きです。
人間社会の縮図、しかも世界のトップエリートの仕掛ける遣り口を見られる絶好の機会だからです。

 2020年の東京オリンピックはそういう世界のエリートの遣り口と、それをビジネスチャンスに変えようとする日本企業の戦いでもあります。
こんなに面白いことを間近で見られるってなかなか無い経験です。
多少巻き上げられて、税金を多く払うのも授業料だと思えば我慢できます。
男子選手の肉体と暗躍する世界中のエリート達の遣り口、この目でじっくりと生温かく見守りたいと思います。

次回は【人付き合いレベルを左右する?自分の立場に応じた「慇懃」な言葉遣い】です。

Text/肉乃小路ニクヨ