自分の弱さを被い、内なる何かを呼び覚ます儀式

化粧というのは自分の内なる何かを呼び覚ます儀式だと思っています。
そしてそれは同時に、不安や臆病な自分をカバーする儀式でもあります。

とりわけ、ベースメークは不安を隠す儀式で、これで弱い自分を覆い隠しています。
昔、ケイト・ブランシェットが主演の「エリザベス」という映画があって、その中で英国女王としての覚悟を決めたエリザベスが、弱い自分を覆い隠して、強い意志を表すのに白塗りのベースメークを施すというシーンがありました。あの感覚です。
メークをやっている友人も、ベースメークは一番大事と言っていますが、私もそれなりに気を付けています。

そして顔の表情の筋肉を考慮しながら目と口の輪郭の強調をすることで、意志の伝達力を高めます。
そこに全体のバランスを考慮した色を投入して、華やかさやメッセージ、ストーリーをプラスします。

あとはそのストーリーに合った表情を作るだけです。

私が下手ながらも自分で化粧をし続けるのは、不器用なので、人にやってもらうと、なかなかそのストーリーを共有出来なかったりするからです。
自分の内面のピックアップポイントが、人にやってもらうとわからなくなってしまうのです。

私が下手ながらも自分で化粧をし続けるのは、不器用なので、人にやってもらうと、なかなかそのストーリーを共有出来なかったりするからです。
自分の内面のピックアップポイントが、人にやってもらうとわからなくなってしまうのです。
女性の化粧も同じではないでしょうか。
まず化粧をした顔で何がしたいか、何を伝えたいのかをはっきりさせる。
その上でそれに合った化粧をして、化粧を活かした表情を作る。

これが出来る人は化粧の技術云々を差し置いて、美しいと思います。

私は化粧を人に教える技術はありませんが、美しさについてはいつも考えています。
安易なモテメイクや流行りのメイクに流されるのではなく、どうしたいからこの化粧をするのだ、ということを考えてみてください。

そうしたら、厚化粧だなんて、つまらない言い掛かりをつけてくるジジイの暴言も、涼しい顔でスルーできるようになります。
エンジョイ メーキャップ!

Text/肉乃小路ニクヨ