私が官能小説で伝えたいこと

伝えたいメッセージ、それは例えばわたしの場合は、女であっても、子どもがいても、性の欲望はあってもいいということ。そのことを誰にも馬鹿にされたり蔑まれたりする謂れはないこと。愛に根差したセックスではなく、性欲だけのセックスをしたっていいこと。セックスはキスから始まって挿入し、正常位で抱きしめ合って果てるものだけが必ずしも「正しいセックス」ではないということ。

そういったメッセージを伝える際、女性や子持ちであることとが必須なわけではありません。けれども同じような立場で、同じことをうっすらと思っている人からすると、やはりそこは重要にも思えます。
だって、メンタル不安定そうな若い女性ばかりを狙い、つけこんでセックスをして、面倒くさそうなことになったらさっさと捨ててしまうような中年男性に「愛に根差したセックスではなく、性欲だけのセックスをしたっていい」と言われたって「お前はな……」って思いますよね。もちろん、若い女の子ととにかくヤリたいと思っている中年既婚男性には「俺にもチャンスがあるかも!」という希望を与えることになるのかもしれませんが、そこはオジサマたちにおまかせしておいて、わたしは女側の欲望にコミットしたいのです。

とにかくのこと、わたしは男性を興奮させて勃起させる種類の小説、マスカキのネタを作ることを、好きで稼業としています。そして、女で子持ちです。これが自分の中では矛盾することなく成立している。それを伝えることこそが、わたしが女流作家である使命なのではないかと思っております。

Text/大泉りか