秘蔵のエロ本が見つかった彼は…

彼の家の押し入れの奥で発見したのは、大量の素人投稿誌でした。全国のマニア男女から送られてきた生々しい痴態の画像が、「『上手くしゃぶれたら、姦すのは勘弁してやるよ』というので、必死にしゃぶりました。けれども、わたしの稚拙なテクニックでは満足してもらえず、バックから生ハメで……」といった赤裸々告白とともに掲載されているドぎついエロ本です。写真を撮っているのも、被写体となっているのも、素人の男女であるからして、エロいというよりも、エグいといったのが正直なところ。

もっとも、「こんなことをしてるなんて、すげぇ! 面白すぎる!!!」と感動できるし、素人女性たちが、堂々と性を謳歌している姿は、「こんなにも、自分の性欲に自由になっていいんだ!」と勇気をもらった気持ちになるので、わたしもエロ本の素人投稿誌は、エンターテイメントの読み物としては、決して嫌いではない。むしろ大好きなのですが、自分の恋人が「これで抜いてるのか……」と考えるとちょっと予想外で、衝撃を受けた次第です。

一方、当の恋人は、秘蔵のエロ本をわたしに発見され、これまで隠していた性嗜好がバレたのをいいことに、次回のセックス時には「いろんな男にめちゃくちゃにヤラれてるお前を見てみたい……」なんていう言葉責めのようなことを囁いてきたので、「ヤレというなら、別の男性とあなたの目の前でヤルけど!」と持ちかけたところ「は?」と嫌な顔をされました。

自らの性嗜好を、必ずしも付き合っている相手で叶えたいかというと、それはまた別の話らしい。そのときに思ったのは、男性にとっても、自らの性嗜好を叶えることは、なかなか難しいことなのかもしれない、ということでした。来週に続く。

Text/大泉りか

初出:2020/6/13