「『娼年』の松坂桃李の手マンが高速すぎて」なんてZOOM飲みじゃ話せない

大泉りかコラム

不要不急の外出自粛要請の影響で、オンライン飲み会が盛り上がりを見せている昨今ですが、わたしの周囲の主婦たちの間では、いまだLINEグループでのチャットが主流です。「流行ってると聞いて、ZOOMのアプリを入れてみた」というところまでは、皆こなしていて「せっかくだからオンライン飲み会しようよ」という話も度々出るのですが、具体的な日程を決める段になると、途端に話が進まなくなる。

その理由は、同じく外出を自粛している配偶者が、ひとつ屋根の下にいると、話題を選ばなくてはならないから。気心の知れた女友達を相手に最も話したいことといえば、「夫には聞かせられないこと」であることも多く、そういった事情に考慮すると、自宅に配偶者のいる状況でのオンライン飲み会は難しい。むしろ、こっそりと指先タップのみでコミュニケーションの取れるLINEのトークが都合いいのです。

夫に聞かせられない人妻トーク

具体的に「夫には聞かせられないこと」とは何かというと、〝不倫”や〝浮気”といった世のオジサンたちの人妻ファンタジーをくすぐるような話ではなく、『Red』の妻夫木くんがセクシーだったとか、『愛の不時着』のヒョンビンで今更、韓流に目覚めたとか、遅ればせながら『昼顔』を観たのけれど、斎藤工のタクミ自身がくっきりだったとか、それなら『娼年』の松坂桃李の手マンが高速すぎて! といった、夫に聞かれても困るわけではないけれども、堂々とするのは、若干ばかられる類の欲求不満妻トーク。とはいっても、マジで欲求不満というわけではないんです。日々のストレスの解消には「どうでもいい話題で盛り上がる」というのが利くので、あえてくだらない話をしたいのです。

また、緊急事態においては、互いの近況を伝え合い、労い慰め合うことも、気持ちを落ち着かせる手助けをしてくれます。これまでとはガラリと変わってしまった仕事のやり方や育児、生活――リモートワークの不便さをどうするか、休校中の子どもをどうやって過ごさせているか、トイレットペーパーはどうやって調達しているのか――同じ立場の女性と話すことで、悩みが解決することもあるし、アイディアを貸してもらって改善することもある。そうならずとも、吐き出せるだけでもいいのです。