かつて、わたしは同窓会をバカにしていた
ここ数年は同窓会に呼ばれると、なるべく顔を出すようにしていています。「なにかコラムのネタが転がっているかも」という下心ももちろんあるのですが、それ以上に最近は、学生時代という、いま思えばとても特別な時期を一緒に時間を過ごした人々と、きやすさと懐かしさとが入り混じった気持ちで酒を飲む交わすことが、楽しく思えるのです。
かつて20代、わたしは同窓会というものを、完全にバカにしていました。なぜならば憧れの出版業界に身をおき、そこでの日々新鮮な出会いがあり、付き合いたい人はいくらでも自分で選べるという状況において、“同じ学校に通っていた”という共通点があるだけの、さして仲良くもなかった人々と飲むことに、なぜ時間を割かなくてはならないのかと考えていたからです。
そもそもが、わたしが通っていたのは、第一志望と第二志望の私立に落ち「それ以下の偏差値の高校なら私立はダメ、公立しか許さぬ」という両親の意向に従って、仕方なく入学を決めた高校でした。
女子高のかわいい制服を着て、イケてる男子高にナンパされて遊ぶ放課後の日々を夢見ていたわたしが入学したのは、勉強の〇〇高校と呼ばれるクソ真面目な校風の学校で、ゆえに端から学校生活を楽しもうという気持ちがあまりなく、実際に3年間の間に付き合った男性は、すべて他校生だったし、放課後はすぐさま池袋の街に出てロリコンのオッサンから金を巻き上げることに日々精を出していた。
学校で何かをがんばったとか、皆と力を合わせて何かを成し遂げたといった思い出が皆無であり、そんな思い入れも想い出もまったくない学校の同窓会に出たところで面白くない、ずっとそう思っていました。
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