和牛もフレンチもNG!パートナーの誕生日は何を食べるか問題

大泉りかコラム

夫の誕生日、なにを食べに行く?

先月、夫の誕生日がありました。恋人だった時代から、お互いの誕生日には、普段は行かないような、少し特別なお店で外食するのが恒例行事なのですが、子どもが生まれて以降は店選びに苦労しています。せっかく誕生日ディナー、求めるものは“トキメキ”ですが、なんせ大人っぽくてムーディーな店や、行き帰りに労力を使う遠いお店などは除外せざるを得ないので、どうにもこうにも選択肢が狭まってしまい、なかなか悩ましい。

確か一昨年は、まだ息子が1歳ちょっとだったために、個室のあるお店がいいと思い、滅多に外食に出られない時期だったこともあって、張り切って某老舗のすき焼き屋を予約しました。ずっと憧れだったので“トキメキ”もある上に、店員さんが張り付いて、いちいちお肉や野菜の世話をしてくれて楽ちんだし、完全個室で落ち着く~と思いきや、最高に和めない
なんせこういう店に慣れていないので、店員さんが真隣でこまごまと給仕をしていると「申し訳ない」と恐縮する気持ちが先立ってしまい、ゆっくりと会話もできないし、お肉はとろけるような霜降りだったけれども、脂がゴージャスすぎてすぐに胃もたれしてしまい「せっかく張り込んだのに、なんだかなぁ」という結論でした。

その翌年はお互いに「食べたことがない」という理由で、味噌牛鍋の店に。食べたことがない料理というのも、“トキメキ”を感じるひとつの要素です。こちらはいい具合にほったらかしてくれたお陰で、ゆっくりリラックスして夫と会話ができたし、出てきたお料理もすごく美味しかったけれど、「また絶対に行きたい!」というかというと……いや、決して店が悪いわけではないのです。むしろ原因はこちらにある。
というのも、せっかくの霜降り肉に箸が進まない。ずっと認めないようにしてきたけど、いい加減、自分を騙しつづけるのも限界です。どうやら我々夫婦の身体は、霜降りの牛肉を受け付けないターンに入ってしまっているようなのです。焼肉デートでカルビを貪り食っていた、出会ったばかりの頃が懐かしい。