知識を得ることで、心を癒せる

「パッシブアグレッシブ」。怒りを直接的には表現せず、押し黙ったり、ふさぎ込んだ態度を取るなど、意識的無意識的にかかわらず後ろに引くことで他者を攻撃することだそうです。受動的攻撃行動。彼の態度は、まさにそれ以外のなにものでもない。

だって、調味料ばかりでなく、パンにマーガリンを塗るときにバターナイフがないことでも、彼は同じように機嫌を損ねていた。バターナイフの代わりにスプーンを使うことは、黙り込んで食卓の空気をぶち壊すほど、悲しいことでしょうか。
彼が押し黙っていたのは、悲しいからではなく、自分の思い通りにならない状況が許せなかった、もしくは、懲らしめるいい言い訳が見つかったとして、わたしのミスをあげつらっていただけだった。

昔の恋人からモラハラを受ける夢を見る度に、わたしは自分で思っているよりも、深く傷ついていて、それはいまだ癒えていないことに気が付いて、これまた背筋が寒くなります。けれども「パッシブアグレッシブ」という概念を知ったことで、「わたしのせいじゃなかった」と、少し気持ちが楽になりました。

知識を得ることは、心を癒す手段を手に入れること。だから、恋人にしょっちゅう理不尽な気持ちにさせられたり、つらい思いを感じたりしている人は、ぜひ、進んで知識を得ることをおすすめしたいです。

Text/大泉りか