言われなきゃ動かない「イクメン」とうまく家事・育児を分担する方法

言わなきゃやらない「イクメン」

夫が洗濯物を取り込んで家事分担している画像 Matthias Zomer

先日、何組かの子連れ家族で遊んでいた時のことです。息子の世話をするうちの夫の姿を見て、

「旦那さん、イクメンですね」

と、とあるママが言いました。

「いやいや。あれやれこれやれって言い続けてるから」
「うちも同じで、やれって言わないとやってくれないんですよ」

と苦笑するママ。“イクメン”という言葉への若干のモヤりはさておき、その返しはちょっと意外でした。なぜなら、そのママの旦那さまこそ、ものすごい“イクメン”だという前評判を聞いていたからです。

もちろん謙遜して言ったのかもしれませんし、わたしに話を合わせたのかもしれない。それでも、おそらく言えるのは、「やれ」と妻が言ってやっと回っている家庭が多いということです。

一般的な日本の母子家庭が、子どもが何歳のときに離婚しているかご存知ですか。平成23年度に厚生労働省が行った調査によると、母子家庭になった時の末の子どもの年齢は、0~2歳が35%、3~5歳が21%と、小学校入学までに離婚する家庭が、実に半数を占めているのです。

このデータを見て、わたしは共感するほかありません。というのも、産後、夫は突如として足を引っ張る存在になるのです。

足を引っ張る夫

子どもという世話のかかる存在が家庭内に増え、しかも最初は寝返りひとつ打てない状態にある。顔の上にタオルがかかるだけで窒息してしまうと言われるほどで、とにかく殺さないようにと、非常に神経を使います。他のことに割く余裕などありません。

それなのに、夫は「ねー、唐辛子って、どこにあるの?」と、これまでとまったく同じように、気楽に手間をかけてくる。あなたは大人なんだから、自分で探すくらい出来るでしょ、とイライライライライライラが募り、これならむしろいないほうが楽なのではないかという考えが、ちらりと脳裏をよぎる。夫さえいなければ、食事の準備は楽になるし、ゴミも減るし、「冷蔵庫の中の麦茶が残り1センチ!」なんてこともなくなるわけで。

とにかく、何が言いたいのかというと、産後、妻が夫に腹を立てないでいるのは、なかなか厳しいのです。腹が立つ原因は様々で、
「妻は子どもの世話で睡眠不足で死にそうなのに夫は仕事だといって飲みにいく」
「寝かしつけや食事など、妻が緻密な計算の上で生活を回しているのに、テレビをつけたりお菓子をあげたりしてすべて台無しにする」
などいろいろ。

でも夫がいないと育児は大変… 

一方で「いやー、なかなか離婚になんて踏み切れないわ」とも思います。なぜなら、育児は手があればあるほど楽なのです。

例えば、お昼ご飯にうどんを茹でる時。脚に絡みついてくる息子をあやしながら、間違っても鍋をひっくり返さないようにしてお湯を沸かし……とやるのは一苦労。でも、夫がリビングで息子と遊んでいてくれればスムーズです。もちろん「わたしが息子を見ているから、冷凍庫のうどんを茹でてくれる?」と頼むことだって出来ます。

離婚するということは、夫婦ふたりいれば半分になるはずの負担を、自分ひとりで抱え込むこと。今だっていっぱいいっぱいなのに、わざわざ過酷な状況に自分を追い込むのもしんどいですし、経済的な不安も頭をよぎります。もちろん、夫への愛情もまだまだたくさんありますし。

つまり大切なのは、夫に腹を立てないように、かつ負担を減らすこと。すなわち「家事の分担」です。とにかく、分担を見直さないとやってられない。