ビンタと説教と、諭しの「◯◯の母」

わたしと恋人が店に入ると、「〇〇の母」は、20代前半の二人組の女性を占っている真っ最中でした(「〇〇の母」の店は、喫茶店で、その一角で占いをしてくれるシステムのため、占いをされている人の姿はもちろん、何を話しているかも逐一聞こえてくるのです)。
が、噂に違わず、めっちゃ怖い。
「あんたねぇ、そんなんだからダメなのよ。男にばっかり頼って」「そうやってヘラヘラしてるところがもうダメ。バカはバカなりに、ちょっとは頭を使って考えなさいよ」と、さんざん人格否定を繰り返したあげく、「ちょっと頬を出しなさい」とビンタ。しかし、当の女性たちは「キャハハハハ~ヤダ~デモ~キャー!イターイ!」と箸が転げるどころではなく、叱られていても可笑しい様子。

ビンタなんてされたら絶対に笑えない。不安に思っていると、占い師は二人組の占いを終え、次に順番待ちしていた女性の席へと移動しました。

こちらはおそらく40代から50代の疲れた雰囲気の女性。いわく、「夫は浮気で家に帰ってこない。息子は態度が悪く、顔を合わせると悪態をつかれる。どうしたら、元の明るい家庭が戻ってくるのでしょうか」と先ほどの女の子たちと比べて、明らかに深刻な雰囲気です。
こんな人に辛口なこといったら、命を……とハラハラしていたら、意外や意外。「〇〇の母」はこんなことを話し始めました。

「あなたが今、すべきことは、家のドアの前に盛り塩をすることです。でも盛り塩っていうのは、ただ盛ってもダメなの。ちゃんと部屋を綺麗に掃除した上で盛らないと意味がないの。だから、朝になったらカーテンと窓を開けて空気を入れ替えて、掃除機をかけること。泣いてる暇があったら、それだけでいいからしなさい」。ついでにこんなことまで。
「あとひとつ気を付けることは、あなたの周りに、『何か悪いものが憑いてる』とか、『これを家におけば、運気があがる』なんて人が現れるかもしれない。それは全員嘘つきだから! わたし以外は信じちゃダメ! 除霊や、壺やなんかを買うことを勧めてくる人がいるかもしれないけど、それは絶対に払っちゃだめ。わたしとなら、30分話しても40分話しても1時間話しても1500円だから、うちに来なさい!」と。

おお、意外とまともなことをいってらっしゃるように聞こえる。もちろんビンタで気合抽入もなしで、ぶたれないこともあるんだ、と一安心したところで、わたしたちの順番が回ってきたのです。

次週に続く。

Text/大泉りか

初出:2018.12.01

次回は<××が言えない女性がスピリチュアルを必要とするのかもしれない >です。
先週に引き続き、大泉りかさんがスピリチュアル系のものに興味を持てなくなったきっかけについて。「○○の母」に言われたアドバイス、友人のスピリチュアル講座、そしてTwitterで見かけた「子宮系」女子のツイートとは。