相手に合わせず好きなことばかりするわたし

以前にも書きましたが、新しい彼はフリーライター、同業種の人でした。付き合って3か月かそこらで、アパートを借りて、彼とその飼い猫と一緒に暮らし始めました。

初めての同棲のことを「おままごとのような生活」と喩えたりしますが、おままごとどころか、「生活」ですらありませんでした。仕事が忙しくて、自炊はもちろん掃除すらしていなかったので、部屋の中は荒れ放題。コンビニの弁当をまとめたビニール袋を台所に向かって放り投げる彼を見て「かっこいー!」と笑ったことを覚えています。
わたしはわたしで、当時は飲みかけのペットボトルの蓋を最後まで閉められないという病にかかっていて、よく倒して中身をこぼしては叱られてましたが、反省するどころか「口うるさいなー」と逆ギレするのがいつものことでした。

当時のわたしは、相手に自分を合わせようなんて、1ミリたりとも考えていませんでした。ステージに立って脱ぎ続けたのは当然のこと、友人を集めて「ピンクローターズ」というユニットを作り、ぐちゃぐちゃに酔っ払ってそこらの男性のズボンを降ろして公開フェラをしたり、スカ〇ロ作品で有名な某映像監督と飲みたいがために、「打ち上げ」を口実にわざわざスカ〇ロのイベントを企画して、1ショット500円で客に浣腸させたり、『マカロニほうれん荘』という漫画をテーマとしたイベントで身体中の穴を使ってマカロニがいくつ詰められるかチャレンジしたりと、そういうくだらなくてエロいことを命をかけて……というほど大げさではないですが、それなりに真剣にやっていました。

一緒に住んでいる彼は、そういった活動に一応は難色を示しつつも、わたしのことを尊重してくれる姿勢はあり、いつも苦笑で流してくれました。「好きなことをしてもいいんだ」と調子に乗ったわたしの行動がどんどんとエスカレートしたのは、どこまで許してくれるのか、彼の愛の深さを確かめたかったわけではありません。ただ、そういう遊び方が楽しすぎたのです。

だんだんと主催するイベントの規模が大きくなり、会いたい人がいればゲストでオファーして仲良くなれる。好きなように生きていることへの全能感に満ちていたわたしはどんどんと調子に乗り、彼がわたしを理解してくれていることに対する、感謝の気持ちがなくなっていきました。そのくせ、自分がしているのは「女だから出来ていること」「女だから面白いと評価を得ていること」だと理解しているから、そのことにひそかにコンプレックスを持ってもいて、どこか荒んでもいた。だから、やがて毎日喧嘩ばかりするようになりました。