好きな服を着るほうが可愛い

 しかし、ケバく装うための権利をそこまでして守り続けたのですが、その後しばらくして、あっさりと転向します。きっかけは、新しく出来た彼が清純派が好きだったこと。深津絵里のファンだというその人のリクエストで、黒髪ショートにして、服装もおとなしめの、お姉さん風を目指すようになりました。

 恋愛により世界は変わる。そして、恋愛は人も変える。あれほど頑固に守り続けたこだわりをあっさり手離せることは、「変化できる」という希望でもあります。けれども、「不本意な自分に変えられてしまう」という危うさも孕んでいる。そう、いま、アルバムの写真を見返すと、その当時のわたしは全然可愛くないし、見ていても楽しくない。むしろ、親や先生たちになんと言われても、自分をしたい恰好を貫き通していた高校時代のほうが、ずっと可愛い。

 そういうことを考えると、やっぱり誰になんと言われても服は自分の好きなものを着た方がいい……というわけで、高校時代の心意気を思い出して、再び好きな服を着ること、そして、保育園のお迎えの時は、上にジャージを羽織ってやり過ごすことを、始めようと思います。

Text/大泉りか

次回は <自分を優先したい私と、自分を優先してほしい彼が、なぜ付き合ってしまうのだろう>です。
恋人よりも自分を優先したいタイプのはずなのに、恋人の言うことを聞いてしまうばかりだった大泉りかさん。恋愛する相手も、なぜか「恋人には自分を一番優先してほしい」タイプの相性の悪い男ばかりでした。2人はなぜ付き合ってしまうのでしょう?