「脱げるライター」が決めた唯一のルール
キャバクラの面接に行けるか、ピンサロに潜入できるか、イメクラで働けるか、デリヘル、SMクラブ、ソープランドはどうだ。ハプニングバーやカップル喫茶、SMパブetc。
しかし、わたしには、ひとつ決めたことがありました。それは、「乳首と陰毛を誌面には載せないこと」。
そう決めた理由は、あんまり生々しい画像を公に出したくないというのがひとつ、そしてもうひとつは「ライターなのだから、文章で勝負したい」と願っていたからです。
あくまでも「乳首と陰毛を誌面には載せない」というだけで、現場で脱ぐことはまったく厭いませんでした。 ハプニングバーでセックスをしたり、出張ホストに性感マッサージを受けたり。
「レズビアンセックス体験ルポ」という企画で、SMクラブの女のコをブッキングされ、男性編集者と三人でホテルに行き、その目の前で絡んだ時は「ひょっとして、この編集者、ただたんにレズっているところが見たくて、この企画を立てたんじゃね?」と訝しみましたけど。
いま考えても、たぶん、絶対にそうですよね。
わたしが書いたルポ記事に、あからさまに似ているモデルさんがセックスをしている画像をあてがわれたこともあります。「これ、わざとだろ」と鼻白みましたが、編集者がそういうギミックを使ってまでも、堂々誌面で脱げる別の女性ライターではなく、わたしを使ってくれたということは、ありがたいことだとも思いました。
どんな酷い仕事であれ、「乳首と陰毛を誌面には載せない」という条件があえば、断ることはありませんでした…
…いや、一度断ると、二度と仕事が来ないような気がして、断ることが出来なかったというのが正直なところです。
ただ、そんなわたしでも、何度かは仕事を断ったことがあります。よく覚えているのは、DVD付きの某雑誌の企画。おむつを履いて、ビールを飲みながらパチンコを打つというものです。
「パチンコでフィーバーするまではトイレには行けない」というルールで、「たぶんフィーバーすることはないから、かなりの確率でおむつに放尿することになる」と説明を受けました。
しかも、その一部始終をDVDに収録するというのです。
一応文章は書かせてもらえるとはいえ、「これってライターの仕事?」と疑問を抱き、断ったのですが、声を掛けられた仕事を断ったのは、それが初めてのことだったので、編集者からの電話を切った後は、なんともいえない罪悪感と後悔と不安に襲われたのを覚えています。