メンヘラとの別れ話の鉄則は…「付け入る隙を見せたら負け」

壁のへこみでフラッシュバック

フラッシュバックする女性のイメージ画像 Momonator

先日、夫と同棲時代から七年間住んでいたアパートを出て、ちょっとだけ広いマンションに引っ越しました。
狭い上にお風呂はバランス釜。上は中国人夫婦でよく大声で揉めているし、隣のアパートはアラブ系の若者が住んでいるために夕方になると辺り一面にスパイシーな匂いが立ち込める。けれど、混沌とした雰囲気がとても気に入った住まいだったのですが、とにかくモノが多くて、これからの育児のことを考えると、にっちもさっちもいかないことから、引っ越しを決心したのでした。

その引っ越しの最中のことです。引っ越し業者のリーダー格の若い男性(ちょっとしたイケメン)が仕事部屋に置いてあった資料入れの棚を持ち上げて移動させた際に、「すみませーん! ちょっとこれ、見てもらってもいいですか」と隣の部屋で片付けをしていたわたしを呼んだのです。
以前の引っ越しの際に、ベッドを移動させたらピンクローターが落ちているのを発見されて、気まずい思いをしたことがあったので、「今度は何だ、何が出てきた?」と、いそいそと仕事部屋に向かったところ、今まで壁に隠れていた棚側面のへこみを指され、こう言われたのです。「この棚、ここにパンチされて壊れた跡があるの、一応確認しておいてください」と。

いま思えば、さらっとスルーすればいいだけのことです。けれど、その時は「パンチされて壊された跡」という言葉に心を掻き乱されて「あっ、わかりました……これ、パンチの跡ですかね」と思わずくりかえしたわたしに、リーダー格の男性が「そうですね~、たぶん。高さ的にパンチされた跡ですね」とくりかえすと、もうひとりの引っ越し業者の若者(こっちもマッチョなイケメン)も「うんうん」と頷きました。
ああ、恥ずかしい……顔が熱くなるのを感じながら、「あれっ、壊れてました? あ、でも、新居に持っていってください」と頼み、部屋から運び出されている最中に考えていたのは、別れ際にさんざん揉めた元の恋人のことでした。