「妊娠セックス」の二重苦

 もっとも、妊婦だからって、セックスが出来ないわけではないんですけどね。

 調べたところ、医学的にも「コンドームをつければOK」とされているそうです。が、そうは言われていても、やはりペニスで突き刺すその先の子宮に、命が宿っていると思うと、なかなか「ぶち込まれたる!」という気になれないというのが、実際の気分なのでした。例えセックスが原因でなくても、何かあった場合、確実に「おとなしくしときゃ良かった」と後悔することでしょうし。

 が、少しずつ妊婦の身体に慣れ、ヤリ逃した男たちへの未練も薄れた(苦笑)、安定期も中盤の6ヶ月くらいの頃でしょうか。

「腹の中に人がいることにも慣れてきたし、ちょっと試しにやってみようか」と思い立ちました。
恋人時代も含めて、こんなに長い間、セックスしなかったことは初めてで、「このままじゃ、まずいんじゃ」という危惧もありましたし、「経験として、妊婦セックスもやっておかないとね」という気持ちもありました。
妊婦セックスには、もしかして普段とは全然違った何かがあるかもしれない、と。

 妊婦がセックスをする場合に、やっぱり相手としてふさわしいのは夫です。
いくらリスクがないとされていても、やっぱり責任は相手にも負っていただきたい……書きながら、「何を当たり前のことを言ってるんだ」と自分でも呆れているのですが、しかし、「セックスしようよ」と誘ったにも拘わらず、最初は夫に、ちょっと渋られました。

 それまでも、手や口などを使って一方的に抜いたり、という性的な接触があったはあったのですが、やはりセックスとなると、男性側も気負うものがあるようです。具体的には「身体が心配」だというのと、「腹が出ているわたしに、興奮できるのか」という二重の葛藤です。