「恋したい」の裏の意味は…?

『『スーサイド・スクワッド』は、『バットマン』や『スーパーマン』といったDCコミックのヒーローに捕らえられた悪人たちで結成されたチーム。減刑を餌に、政府の汚れ仕事を担わされる悪役たちの集団です。

 100発100中の腕を持つスナイパーや、手から炎を放つ特殊能力者、突然変異でワニのような肌を持つ男など、個性的な悪役な面々が活躍するアクション映画なのですが、その中でも、ひときわ目を引くのがジョーカーを愛するあまりに闇堕ちしてしまったヒロイン、ハーレイ・クインです。毛先と赤青二色に染め分けたツインテールに、美脚をこれでもか、と曝け出したショートパンツ、ヤンキー風味のサテン地ブルゾン、首には恋人のジョーカーの愛称である「Puddin」の文字のチョーカー。キュートでエロいその姿はスクリーンで一見の価値あり!

 なんですが、実はこのハーレイ・クイン、ビッチなキャラかと思いきやその正反対の我命有限愛続愛羅武勇な一途な女のコ。ジョーカーと出会ったことで、精神科医という立場を捨てて、社会に中指を突き立てた!のはいいんですが、代わりにジョーカーに心を囚われることとなってしまう。恋によって、自由になったようで、むしろ、なにも開放されていないのが、なんとも悲しい、というのがこの映画を観て一番強く思ったことでした。

“恋愛”が持っている要素のひとつに「今までとは違う自分になれる」ということがあります。献身的な気持ちを抱くようになり、「相手のために何かしたい」と思うことで、今までと違った自分に変化することもあれば、恋をした相手と深く知り合うことで、その人がこれまで身に着けてきたカルチャーや、世界を深く知り、その影響を受けて、自分が変貌することもある。そういう意味でいうと、“恋”には、平凡でつまらない日常を変えてくれるという、希望がある。
いえ、そもそもが「今の自分とは、違う自分になりたい」からこそ、恋をする――「恋がしたい」という言葉の裏には、「誰かに自分を、変えて欲しい」という意味が込められているようにも思えます。

 が、恋人によって変化させられることは、必ずしもいいことばかりではありません。支配欲の強い相手の場合は、いくらあなたが自分好みに変貌を遂げようとも、「自分と出会う前のあなた」を否定したり、「もっともっと」とあなたが譲れない部分までも合わることを求めてきたりもする。こうなると立派なDV ですけどね。