「不倫セックスしよ!」は出るのか?
というわけで、まさかの「不倫セックスしよ!」は出るのか。
知りたいという好奇心はあれど、ふたりのその後に、落胆したくない気持ちもある。
ゆえに、読むべきか読まざるべきかを悩んでいたところ、とある同じ年の男友達に「大泉さん、アレ、読みました?僕、ショック受けたんですよ」と話題を持ちかけられたんです。
氏曰く、リカとカンチは不倫セックスはせず、ただ二人のかつてのセックスを語るのみ。
「アラフィフになると、セックスはするものではなく、語るものになるんだ、ってなんともいえない気持ちになって……」って、ああ、それ確かにつらい。
つらいけど、なんかデジャヴがある。
なんだったっけ?
とりあえず、週刊ビッグコミックスピリッツを入手し、50歳になった登場人物たちの現在に涙をこらえながら読了したところで、はっ、と思い出しました。
デジャヴ――それは、以前、学生時代の同窓会の、二次会のスナックで、かつて付き合っていたクラスメイトの男女が、隅でコソコソと話して、涙ぐんでいる姿です。
その時、わたしは「あいつら、今さらイチャイチャしやがってキモー!」と心の中で毒づきながらも、その奥では、「甘い思い出を語る元恋人がいて羨ましいなー」と羨んでいました。
だって、わたし、よくよく考えてみたら、再会したい元彼なんていない。
というのも、別れた後もフツーに友達付き合いを続けているか、道で偶然会ったとしても完全に無視されるくらい嫌われているか、もしくは会いたくないほど嫌っている元彼ばかり。
もちろん、思いを残して別れた人もいましたが、そういう相手は、とうの昔に再会済みどころか、ついでにヤっちゃっている。
しかも、この「再会した時にセックスもしちゃった相手」というのが最も曲者で、ほぼ100%の確率で思うことは、「あれ、この人、セックスこんなに下手だったか」ということ。
そりゃそうですよね。
互いに心が寄り添っているからこそ、セックスが気持ち良かったわけで、技術はそのまま、愛がなくなれば「あれ?」と思うのは当然のこと。
男側からしても、大好きな彼女には気を使っても、簡単にヤラせてくれる元彼女には、甘えしかない。
というわけで、気が付けば、わたしの足元はぺんぺん草も生えない荒野。
老後はどうやってトキメキを得ればいいの……。
というわけで、まだ再会していない、大好きだった元彼のいる人!
50代にほのかな甘みを味わうために、十分に寝かせてヴィンテージ化してからの再会をオススメします。
…次回は《「恋する女子の可愛さ」が詰まってる『地獄の釜』が開いたとき…》をお届けします。
Text/大泉りか
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