肉を制するものは性欲を制す

 そういえば、女友達と色気のない女子会をする際には、肉を食える店が選ばれることが、非常に多いのも事実です。
というのも、焼肉であれ熟成肉であれ猪鹿といったジビエであれ、肉というものは目の前に出てきた瞬間にテンションがあがり「キャーーーッ!」と叫び声をあげてしまうスペシャルな食材。むしろ、“肉を食いに行こうぜ女子会”などは「キャーーーッ!」と叫ぶために開かれている節もあります。
現に、今年一年で「キャーーーッ!」って叫んだのは、肉を目の前にした時と、タイのゴーゴーバーでチンコをおっ勃てたメンズを目にした時くらいですよ。肉へのトキメキがメンズへのトキメキに匹敵するということは、女は肉から、(男なんていなくても)逞しく楽しく生きるパワーを補充出来る、ということです。

 さて、話は変わり、先日、とある官能作家の先生を取材する機会がありました。その先生曰く、なんでも、『女性は、食事による満腹感をつかさどる満腹中枢と、性的な欲求をつかさどる中枢が、脳の大脳辺縁系の非常に近い場所に位置していて、基本的には片方が満たされると、もう一方の欲求も収まる仕組みになっている』とのこと。ゆえに、「グルメ旅行などに参加しているご婦人方を観ると『セックスをしていないな』と思うんですよね」といったことをおっしゃっていたのです。

 なるほど、わたしが黒毛和牛塊肉にかまけている間、性欲をすっかり忘れてしまっていたのも、この脳の働きのせい――脳が和牛にときめくことで、男へのトキメキ欲が満たされていた――だとすれば、「彼氏が欲しい」と心の底から思っている女は、肉食う女子会を絶ったほうがいいと言えるし、反対に、自分のことを好きになってくれない男のセックスにドはまりしてツライことになっている女は、女友達と肉を食うことで気を紛わせることが出来る。

 恋を加速させるか、恋のブレーキにするか、ちょっと肉に頼ってみるのはいかがでしょかね。

…次回は《「女子は恋愛を上書き保存する」は本当かもしれないと感じた3度目の結婚記念日》をお届けします。

Text/大泉りか