恋に生きるアラサー女が元同級生の彼氏を奪う!?/『待つ女、誘う女、奪う女』

 大人の女性のための恋愛小説サイトエブリスタウーマンの人気著者陣による特別コラム!
著者の方に自身の作品の魅力をあますことなく伝えていただきました。

 第二弾は『待つ女、誘う女、奪う女』著者の福元ユウコさんです。

浮気に不倫…対立する恋愛観が交差する『待つ女、誘う女、奪う女』

エブリスタウーマン 官能小説 待つ女、誘う女、奪う女 JonDissed

 私は今までプライベートや仕事(結婚相談所のカウンセラーなど)を通じて、多くの女性の恋愛話を聞いてきました。
そこで改めて実感したのは、恋愛観は人それぞれ違うということ。そして“対立する恋愛観を軸に物語を創ってみたい”という思いから生まれたのが『待つ女、誘う女、奪う女』です。

 一人の男性を巡って、感情のまま行動する「奪う女」と「待つことしかできない女」が対立する中、人妻でありながら「誘う女」も物語に絡んでいきます。

 私に続いて彼も玄関の中へ入った。中からガチャリと鍵をかける。
そして――。私はその場で彼に抱きついた。驚いて固まったままの孝一。
「好きなの」
 私は切なげな声を出す。
「沙織がいても……どうしても好きなの」
「……」
「二番目でいい。私とも会って」
 私は彼の背中に回した腕に力を込めた。彼は身動きせず、絞り出すような声で言う。
「そんなの……留美さんに悪いよ」
「ううん、私の勝手なワガママだから」
「……」
「お願い、沙織には絶対言わないから」
 孝一は黙ったまま何も言わない。きっと彼は迷っているのだ。

 女性もアラサーの年代になると、自分の生きがいや人生の目標がハッキリしてくると思います。

 友人である沙織の恋人を好きになった留美は、恋に生きる女。特に自信があるのはカラダなので、そのカラダで彼を虜にしたいと考えます。罪悪感はありません。
仕事と結婚の二兎を追っている沙織と違って、留美が欲しいのは彼だけ。だから絶対に奪ってみせる、と自分の道を突き進みます。
そこには本能や感情だけに留まらない、留美の明確な生き方があるのです。