守ってあげたい!心を閉ざした王子様・洸

昔とはまるで別人みたいなあの人……会わない間に何があったの? というような具合で、はやくもすれ違うふたりの心。
これはさっそく神視点の登場か?と思いきや、これが必ずしもそうではない。とくに、本作に登場する女子たちは、自分の気持ちに正直な女子たちばかり。どんどん自分の心境を語っていきます。
たとえば、主人公の「双葉」とその友だちの「悠里」がふたりとも洸のことを好きになってしまった時、双葉は

「私も洸のこと好き…なんだ/悠里と好きな人かぶっちゃって…ごめん」

と告白します。
そして、言われた方の悠里も「…そっか!/じゃあこれから/どっちがうまくいっても恨みっこなしだからね!」と答える。
さらに、その場にいた「修子」まで「…私———/田中先生が…好き…っ」と聞かれてもないのにしゃべり出してしまう始末。このように、女子たちのまっすぐさは、この作品の大きな特徴です。

そんな女子たちに対し、男子たちは、自分の心を素直に打ち明けるのが苦手そう。とくに、本作の王子様である洸の気持ちは、本当に見えないし掴めない。
中学時代はシャイだったし、高校になってからは無口だったり、ひねくれていたりするから、双葉たちもなかなか彼の本心が引き出せずにいます。
しかもその性格が、生まれつきのものではなく、私生活でいろいろ苦労しているからなのも、見ていて切ない。

そんな洸の気持ちを分かってやれるのは……そう!神視点を持っているわたしたちです!大人の女ならではの包容力で、洸のことを見守ってあげる!
そんな気持ちで読み進めると、もう洸が可愛くて可愛くて仕方なくなります。