ほんのちょっとの進展で、死ぬほど胸キュンを味わえる

 世間的には情けないおじさんである店長のことを、王子様として見ることができるあきらは、実にいい女です。
思春期の女子といえば、イケメンだとか、名門校に通ってるとかいったスペックが気になりがちなのに、あきらは「あなたの魅力は、あたしだけのもの」と言い切っている…はっきり言って、超カッコいいし、超かわいい。
他人にどう思われるかじゃなく、自分がどう思うかを大事にできるあきらは、いまでも十分いい女ですが、大人になったらもっといい女になりそうです。

 あきらのピュアで一途な恋心を、店長はこの先どのように受け止めるのでしょうか。好きですなんて言われても、相手は職場のアルバイトの子だし、自分には息子だっているし、べつに金持ちでもないし。かといって、おじさんならではのスケベ心で突進するタイプでもないわけで。
さあどうする、近藤正巳、45歳。

 自信のない王子様の恋は、つねに徐行運転。そのトロさが、なんとも焦れったくて、なんなら童貞臭さえ漂わせていて(子持ちなのに童貞感があるという奇跡!)、なんだか放っておけません。
ほんのちょっとの進展でも、死ぬほど胸キュンを味わえる…これは並のイケメン王子様よりよっぽど中毒性があると言わざるを得ません。

Text/トミヤマユキコ

次回は <あなたはどっち派だった?90年代を代表する『ピーチガール』のデキがいい男の子たち>です。
もうすぐ実写化映画が公開する、二人のイケメンの狭間に揺れたい全女の子の理想をつめこんだ王道少女漫画!私だったらどっちを選ぶか、でもどちらも捨てがたい…勝手に妄想が捗ります!少女漫画の醍醐味をトミヤマさんがご紹介します。