“結婚すれば幸せになれる”は幻想

中村:でも雨宮さん、恋愛は色々されてるんですよね。結婚の話にはなったことがあるんじゃないですか?

雨宮:なったことはあります。でも、当時は私があんまり結婚したくなかったんですよね。

中村:それは何歳くらいのときだったんですか?

雨宮:20代後半~30歳前後くらいですね。結婚で自由が奪われるという感覚がすごく強くて、「結婚したあと、仕事を続けてもいいよ」「家事とか育児も手伝うし」って言われると、「いいよってなに? 手伝うってなに?」って、食ってかかってて。相手はその発言の何が悪いかわかってないから、「こっちは譲歩してるのに、何が不満なの?」みたいな感じで。「結婚したら今のように仕事ができなくなる」と思ってました。

寂しいとか、この人と決めた相手と一緒にいたい気持ちはあっても、結婚となると当然のように相手は子供を欲しがる場合が多くて、「ただ一緒にいたい」という純粋な気持ちなんか、なれたことないですね。突然、子供込みでの将来の計画を今提出してって言われているような気分になっていました。

中村:なるほど…。そこから、どうやって結婚もありだなって気持ちになったんですか?

雨宮:それは、愛を失ってからですね…(笑)。この人しかいないという人に失恋をして、もう失恋がいやだ!と思ったんですよね。このままでは生きている意味がないというか。

中村:わかります。もうご飯食べてシャワーあびるくらいしかできないですよね。

雨宮:シャワーあびているだけましですよ!(笑)これ以上フラれたら生きていけないと思いました…。年をとればとるほど傷が深くなるのは実感としてあったので、そう考えると「結婚したい」と思ったんです。
それまでは、恋愛にゴールを求めていなくて、冷めたら別れるほうが純粋だと思っていたんです。だけどだんだん、簡単には別れないという覚悟を決めて、お互いに一緒にいる努力をする関係の方がいいと思えるようになったんです。

中村:確かに結婚して気づいたことが色々あって。ずっと相手と一緒にいるし、これからは自分ひとりじゃ決めちゃいけないんだ、ってことですね。
まあそうして、その相手とずっと一緒にいられるんですが、でもそれが余計に不安なんです。次は旦那がいつ死ぬか、っていうことが心配なんです。だからみんな子供産むのか、と。さみしさはつきないですね。

雨宮:さみしさに終わりはない、って話なんですか、今日って…!(笑)

中村:いやいやいや!(笑)
でも、私も悩みすぎると、悩みのリミットがバーンとはずれて動いちゃう方なんですね。そういうのってないですか?悩みに悩んで勢いでいくこと。

雨宮:確かに勢いが出ることはありますね。
『世界婚活』の中で、スペインで出会った恋愛の達人の女性に、「孤独っていうのはふたりでいれば大丈夫になるわけじゃない」っていわれたくだりがあって、それがすごく印象的だったんです。
「結婚すれば幸せになれるんじゃなくて、何をしたら自分が幸せになれるかわかったほうがいい」っていう。

中村:もうそれ聞いて脱力ですよ。結婚してもまだ孤独なのか、と思って。誰と出会っても、悩みはつきないということなのかもしれませんね。

【つづく】
次回は、「フランス人の男女関係から恋愛の多様性を知る」をお送りします。

Text/AM編集部

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