結婚も、仕事も、子供も…
コンプリート願望に突き動かされてしまう

ジェーン・スー: まぁねぇ…。これ、中谷さんが32歳ぐらいだったら私の恥もさらしながら「自分の欠損部分を他者で埋めようとする恋愛はうまくいかないことが多く…」みたいな話でもするんですが、まだ26歳ですよね?

中谷: はい26です。

ジェーン・スー: 結婚よりもやりたいことが多い気がするのですが…。

中谷: たしかに多いのですが、たぶん社会圧というか、いままで無難に何事もしてきたので、結婚より仕事が楽しくなることにも不安を感じてしまいます。

ジェーン・スー: あるよねー社会圧!
結婚出産ぐらいしとかないと女という人間として欠陥があるのではないか?コンプリートしてないのではないか?という思いはおっしゃる通り社会圧からくると思うのですが、そういう話ですか?

中谷: そうですね……。コンプリート願望が強いです。
スタンプラリーのように、ハンコを押していきたいというか。
わがままなのですが、全部ほしいと思ってしまいます。

ジェーン・スー: わかりますよ!わかります!
がんばって叶えてそうやって当然、みたいなきらきらした人ばっかりメディアに載ってますしね。
きらきらした人か、どん底みたいな人ばっかりとりあげられるからね!

中谷: そうなんです。どん底への恐怖と、キラキラへの憧れで……

ジェーン・スー: 育児に協力的な旦那と両親に恵まれ、自分もバリバリ働いて朝5時に起きて朝ごはんと夜ごはんを作ってから出社!みたいなね。
もしくは狂ったようにお見合いパーティーにいったり、生活がままならなくなって脱法ハウスで…みたいな人かね。どっちかしかメディアはとりあげませんからね。
まぁ…でもその間にいる人がほとんどじゃないですかね。

中谷: そうですよね…。うすうす分かっているのですが、どこかでどれかを妥協してしまったら、もう一生手に入らないのではということが不安で、どれも捨てられず……。

ジェーン・スー: わかりますよーわかります。

中谷: 「適齢期がー」と言われると、なんとか、その前に準備しておきたい気持ちになってしまいます。

ジェーン・スー: どれも叶えている人が実際にいますからね。生き証人がいるってことは、できないことはないはずだと思いますよね。
でもそうやって中谷さんみたいに「ううう…」ってなってる人がほとんどじゃないですかねー。

中谷: たしかにそう思います。結婚した友達も、「もっと仕事したかった」というようなことを言いますし。

ジェーン・スー: ねー。どっちの芝生も真っ青に見えますよね。

中谷: はい。

ジェーン・スー: 女性が働いて結婚して子供産んで…っていうのが無理なくできるように社会が整ってないわけですから、どっちも手に入れるのは至難のワザだと思いますが、自分に負荷がかからない程度にうまくやっていくしかないんだと私は思っています。
うまくやる、というのは自分に折り合いをつけるということです。
「結婚か仕事か!?」の二項対立ではないと思いますが、興味のあることはひとつにしか集中できない不器用な人もいますし、全部欲しい!と頑張りすぎて疲れちゃうのもなんだかもったいないですよねー。

中谷: そうですよね。どこかで折り合いをつけなければとは思うのですが、このままだとタイミングを逃すのではと怖いです…。