これって東京03の新しいコント?銀行マンとの奇妙すぎる一夜

あれは私がワンレンに目覚める半年くらい前のこと。
単価2,000円の婚活漫画連載をwebでやっていた私は、定期的に取材という名目で婚活パーティーや街コンに参加していた。
そこで繋がった銀行員の男性と後日、なぜかお互い友人を連れて2対2のプチ合コンをしようということに話が進んだ。私にとって、同い年の男女が4人集まるというのは日々の暮らしではそうそう起こることがない。遅れた青春を取り戻すのに、この頃は必死だった。

場所は新宿。洞穴のような内装をした、いかにも新歓や合コン向けですといったお店でプチ合コンは始まった。向こうが連れてきたのは肌が真っ白くて官僚になりたてホヤホヤの男の子。とにかく結婚したくて仕方がないといったご様子で、私が連れてきた女友達のことをよほど気に入ったのか、私を無視して2人の世界に入り込んでいた。

みんなは下戸な私より酒が強くて浴びるように飲むもんだから、気がつくと2軒目にいた。何を話していたのか全く覚えていないけど、銀行員に「街コンのときは正直可愛くなかったから視界に入らなかったけど今のほうがかわいいよ」と言われてマンザラでもなくなってしまっていた。単純すぎるのが私の長所でもあるけれどこういう場では欠点だ。
銀行員は酒がそんなに強くないのにバカみたいに飲む。まるで昭和の映画にでも出てきそうなお調子者の酔っ払いそのものだった。なんとなく、銀行員の飲み会がどんなものか想像がついてしまうほどである。

銀行員が目の前で泥酔して…

普通、たいして好みでもない男が目の前で泥酔しきっていたら女の人はさっさと帰ってしまうものかもしれない。
ところが私はそうではなかった。

よほど生理的に無理でもないと断れないというのもあったし、この際見た目で男を選んでられないと焦りに焦っている時期でもあった。そんなこともあり、私は無理やり自分なりに納得できる理由を必死で見つけて受け入れようとしていたのかもしれない。

納得するための方法を考えた結果、銀行員の彼を他の誰かだと思い込むことにした。
顔が似ている有名人を脳内でググった結果、東京03の角田さんがヒット。今は超健康的な体型に優しい笑顔なあの人も、若い頃はかなり痩せこけて幸の薄そうな鋭い顔つきだった。
「目の前に角田さんがいる」
そう思い込むとなんだかテンション上がってきた。実際、髪型も角ばった黒縁メガネも細い目も平凡な眉毛も合致している。

そうかと思えば彼もこんなことを言ってきた。
「ニューデイズのCMの女優に似てるって言われない?」
芳根京子のことを言いたいらしい。一応誤解を招かないように言っておくが、びっくりするほど似ていない。
おそらく彼も私のように似ている芸能人を無理矢理見つけて、私のことを芳根京子だと思い込もうとしていたに違いない。確かに、目の前に芳根京子がいたら誰だって放っておくわけがない。

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