角田はありえないほど酔っていた

友人は私をとても心配しながら先に帰り、官僚ボーイも帰らされ、残った角田は芳根京子を連れて新大久保にある場末ホテルへ向かった。

角田はありえないほど酔っていた。
部屋は1階のフロントのすぐそばなのだが、突然深夜に起きて部屋を出たので何事かと思い眺めていると、フロントのお婆さんに向かって「トイレどこですか?」と寝ぼけ眼で聞いていた。
「お部屋に入ってすぐ右側にありますよ」
「そーですか、ありがとーございます」
おそろしくシュールな光景。東京03の新しいコントか何かだろうか。

トイレを済ませそのままベッドに倒れ込むのを確認して、私も再び眠りについた……

早朝に目が覚めた。
起きてすぐトイレへ行くと、そこには流されていないトイレットペーパーとうんちがあったので、流してから私は用を済ませた。
そんな日もある、誰だって。だって泥酔していたのだから。

トイレから出るとペーパーは散乱しており、床にはところどころ茶色い汚れがあった。ものすごく不安になった私は恐る恐る確認するように部屋の中に戻ると、その茶色い汚れはベッドの方に続いてて、真っ白なシーツにもべったりと付着していた。
……垂れ流しながら歩いたということか?

皆さんならここでさっさと帰ってしまうことだろう。でも私は違った。
「朝起きてうんちだらけの光景を見たらショックで立ち直れなくなるかもしれない……」
なんだか急に可哀想に思えてしまったのだ。
汚れてない方のシーツを使ってどうにか自然にカモフラージュを施した。朝から私は一体何をしているんだ……まあこれも東京03のコントだと思えば、あの角田さんならあり得そうな状況だしな。
一仕事終えた後は友人に報告の電話をし、彼が起きるのを待った。

何事もなかったように彼は起きて、チェックアウトを済ませ、お昼は一緒にシシカバブを食べた。
うーん、茶色な固形物だな……と思いながらシシカバブを貪った。
「次からは、嫌なときは素直に帰ろう」と私は学んだ。

Text/oyumi