6万円が減るという事実だけではなく
もっと深く細かく知ること

まずはじめに、現実的なお話しをしましょう。
6万円って……高いですよね!?
いや、子供を育てるにはとてつもないお金がかかりますし、いくらお金があったって足りることはないのでしょうが、純粋に家計から毎月6万円引かれることだけに注目してみると、「高いな!!!」とつい口から出てしまいます。
ですから、あなたが「毎月6万円があれば……」と思ってしまう気持ちはとてもよくわかります。
彼のお子さんが現在何歳なのかはわかりませんが、仮に今8歳だとして、18歳までの10年間毎月払い続けると考えたら総額は720万円。なかなかの金額ですよね。
あくまでもわたしが抱いた印象ですが、あなたは物事を知らないまま事が済んでいるよりも、できる限り状況を把握できているほうが不安が少なくなるタイプに見受けられたのですが、いかがでしょうか。
わたし自身、そういった法律分野に明るいわけではありませんが、ただ毎月口座から6万円減っていくという事実だけを認識したままよりも、もっと深く細かく知っておいたほうがいいのではないかな、と。
たとえば、その6万円という金額はどういう基準で設定されたものなのか(彼の収入から算定された相場なのか、何か事情があってそれよりも少ないのか、基準よりも多くて彼が子供が苦労しないために自らの意志で金額を上乗せしているのか)。何歳まで支払う予定なのか(成人である18歳までなのか、大学を卒業するまでなのか)。進学時に別途入学金などを支払う取り決めがあるのか。前の奥さんが再婚した場合も支払い続けるのか。そういった細かい部分まで彼に聞いておいてはいかがでしょうか。
それによって生活の見通しを立てやすくなりますし、あなたが内訳を聞いて納得がいかない部分があれば彼に進言でき、場合によっては家庭裁判所での異議申し立ても可能です。
再婚や病気、養育する子供の人数が増えたり、転職や退職によって収入が減ったり、そういった環境の変化によって養育費の金額を設定し直せるんだ、というルールを知っておくだけでも、あなたの気持ちは少し軽くなるように思います。

さて、先にお話しした内容に関しては「こういうことも可能だよ」と事実を伝えたまでで、大事なのはあなたが彼と結婚してからどういう気持ちで日々を過ごすか、彼に子供がいることをどう受け止めるか、ですよね。
ここから先はもしわたしがあなたの立場だったら、という視点でお話しさせていただきます。
もしかしたら「すでにそう考えてるよ!」といった意見もあるかもしれませんが、「こういう考え方もあるんだ」「自分もそういう風に捉えてみようかな」と取り入れられる部分を見つけてもらえたらうれしいです。

そもそも、養育費は子供の権利で親の義務なんですが、世の中には「養育費なんて払ってらんね~!」とバックレようとする不届き者がいるのも事実です。
そんな中、自分の好きな人が親としての責任をきちんと果たしていることを、信頼できる部分として受け止めます。そしてその事実は、自分たちの家計の負担になるという点とは分けて考え、彼の人間性だけを見つめます。
物事に対する責任感は(優先順位はあれど)繋がっていますから、誰かのことを蔑ろにしている人は、自分に対しても同じ扱いをする可能性を孕んでいるだろう、とわたしは考えています。そのことからも、養育費を払い続けている彼のことだから、この先どれほど大変でも自分とこれから持ちたいと考えている子供のために何が何でも頑張ってくれる人なんだな、と安心できるのです。
6万円という金額で、彼の人間性のいい部分を知ることができたのかもしれない、と受け止める努力をします。

もし過去がなければ
今の彼になっていないかも

また、養育費は子供にかかるお金、これから払い続けなくてはならないもの、と思うから重みを感じるのだと思います。
事実、彼には子供はいてその養育のためお金ですから軽く捉えていいものではありませんが、あくまでもひとつの考え方として聞いてください。
仮に、今後支払わなくてはならない養育費の総額が800万円だとしましょう。
もちろんこの800万円は彼に婚歴がなく、子供がいなければかからないお金ですが、あなたが彼と別れて、婚歴がなく子供がいない別の男性とお付き合いして結婚の運びとなった場合……その男性が、あなたと出会う前にアウディやレクサスなどのいい車を新車で購入して、さらにすでに手放しているとしたら? あなたとは関わりのないところで、彼の資産はその分減っていますよね。
他にも、もし過去に大学を1年浪人、さらに1年留年してたとしたら? 社会に出るのが遅れた2年間の給料+勤続年数に基づいた退職金は生涯賃金から減ってしまうはずです。
もしもそういった事実があったら、あなたは「結婚前に高級車を買っていなかあったら、そのぶんもっと子供にいい教育を受けさせられたのに」「あなたが現役で大学に合格してストレートで卒業していたら、旅行でもっといいグレードのホテルに泊まれたのに」と言うのでしょうか? きっと言わないですよね。 
出会う前の出来事についてタラレバで求めるのはマナー違反ですし、そもそもそんな考えにすら至らないはずです。自分だって、これまでの人生で一切無駄なお金をつかっていないわけじゃありませんしね。
わたしだったら、ほんとうに彼と結婚したくて、養育費の金額だけがネックなのだとしたら、そういう風に無理矢理にでも帰結させます。

結婚後に実は彼に子供がいたことがわかった、浮気してその相手が妊娠してしまった、ということならまた話は変わってきますが、今回の場合はそうではない。
それがどういったものであれ、人には過去があり、様々な経験をして、その過程で価値観が構築されていくのです。
あなたが「もし彼に子供がいなければ……」と考えてしまう気持ちもわかりますが、でもその過去がなければ、責任感のある、あなたの不安を取り除くために向き合ってくれる、あなたへの負担を少なくしようと努力してくれる今の素敵な彼にはなっていなかかったかもしれませんよ。