ヤンチャな雰囲気の男性と

ひとりで途方に暮れ続けるよりは、誰かしら話相手がいるほうが、心強さがある。彼はこのマンションに男友達とシェアして住んでいること、飲食業で今日はたまたま休みであったことなどを語り、わたしは大学生でここには社会人の彼氏が住んでいるということを告げ、そして連絡先の交換することになりました。

やがてもろもろの点検が終わって封鎖も解かれ、「じゃあ!」とわたしも彼もそれぞれの部屋に戻りましたが、以後、恋人の家を訪ねた際、例えば先に恋人が寝てしまったり、会社に行ってしまったりして暇なときに、連絡を取って彼の部屋に度々遊びにいくようになりました。彼の部屋にはシェアメイトの男性がもうひとりいることもあってか、もしくはわたしのことがまったく好みではなかったのか、セックスは一度もしなかったけれど、恋人に秘密でこっそりと家を抜け出して、同じマンションの中にある男の子の住む部屋を尋ねるのは、なんだか妙に、興奮したことを覚えています。

Text/大泉りか