大学時代、社会人の彼氏と付き合っている同じゼミの学生のことを、親しい同級生のひとりが「中学時代は高校生と付き合って、高校生になると大学生と恋愛して、大学生になると社会人の恋人を作り、社会人になると不倫するタイプだよね」と揶揄していたことを、いまだ強烈に覚えているのは、その後わりとすぐにわたしも社会人の男性と付き合い出し「わたしも陰では、社会人になると不倫する……とか予言されてんのかな」と思ったからです。
なぜ彼女は、あんなに社会人と付き合う同級生を辛辣に評したのだろうか。たしかに「年上の男性」と付き合うことを、「わたしはあなたよりもちょっと進んでいる/上である」という材料にする女性はいないこともないし、当人はそうは思っていなくても、勝手にコンプレックスを感じてしまい、面白くない気持ちになる人もいるとは思います。もしくは、「年上の男性」というものは、社会通念的には「年下の女性」よりも立場が上とされているし、学生よりは社会人、新入社員よりは上司のほうが、社会的地位が高い印象もある。だからこそ「年上の男性」を意識的に狙うということは、その男性のステータスを自分のステータスにしようと考えているようで、そこが気に食わないとか。
が、一方で彼女は、むしろ「年上の男性」というものを特別視しすぎているのではないか……と思うのは、当時わたしが付き合い出したばかりの年上で社会人の男性は、とんでもなく酒乱で、酔っ払うと道の真ん中に大の字になって寝るような人だったからです。なぜそんな男と付き合っていたかというと、とにかくセックスが上手だったからでした。上手というのはテクニックではなく「いろんなことをしてくれる」という意味で、だから悪い言い方をすれば、手練れの年上男にたらし込まれたということになるのだけれども、あまりに年上としての包容力や安心感がない男性だったので、周囲の友人もわたしも「手練れの年上男」ではなく「酒癖ヤバいひと」という認識でした。しかし、彼の大人げない行動のお陰で「年齢なんてただの数字」と思うようにもなれたのでよかったとポジティブに受け止めたい。
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