京都旅行で起きた「やれたかも体験」を僕は一生後悔している/中川淳一郎

今回は厳密にはエロい話ではなく、一生後悔したくなる「エロ未遂」の話である。ABEMAに『やれたかも委員会』という番組があるが、これはエロ未遂をした人のエピソードがドラマ化され最後に審査員が「やれた」「やれたとは言えない」の判定を下すものである。

僕にとってはこの「エロ未遂」が一生の後悔に繋がってしまったため、読者の皆様には「やれたかも委員会」的に僕の判断を評価していただきたい。

入社2年目で起こった「やれたかも体験」

僕はメーカーの販促担当をしており、入社2年目、23歳のときに広島で行なわれた展示会に参加。下っ端なため、さまざまな雑用が僕に与えられた仕事だった。ブースの運営をしていると何かと運営側の事務所に行くこととなる。迷子の案内アナウンスやら、必要な備品を借りたり、などと雑用係は頻繁に行くのだ。

このイベントは3日間行なわれたのだが、初日の午後から一つ楽しみが生まれた。事務所で我々出展者に対応するのが、メガネをかけたショートヘアの美人だったのだ。誰に似ているかと言えば、風吹ジュンがメガネをかけた感じというのが正しいだろう。

彼女は僕のドンピシャの好みのタイプで、「おい、ニノミヤ、事務所へ行ってこい!」なんて上司から言われたら嬉しくて仕方がなかった。初めて喋ったときに名札の「吉村」は覚え、以後意図的に「吉村さん」と喋るようにした。

そして最終日の展示会終了間際、この3日間お世話になった吉村さんにお礼の挨拶をしに行った。彼女は僕と同じく23歳だ。

「3日間本当にありがとうございました。吉村さんのお陰で無事撤収できそうです」

「いえいえ、お役に立てて光栄です」

ここで一瞬黙ったが、意を決してこう言った。

「すいません、電話番号とメールアドレス、教えていただけますか?」

彼女はニッコリと笑い、自身の名刺の裏に携帯電話番号と個人メールのアドレスを書いて渡してくれた。僕は会社の名刺を彼女に渡した。

東京に戻ったらすぐに吉村さんに「無事東京に戻りました。お蔭様で上司もお客さんも喜んでくれました」とメールを書いた。すぐに彼女からは返信が来て、ニノミヤさんとの雑談が展示会期間中は癒しになりました、といったことを書いていた。

メル友になった彼女に…

そこから約5ヶ月、我々はいわゆる「メル友」になり、互いの近況を報告しあっていた。そして10月、僕は彼女に会いたくて仕方がなかった。なので、こう書いてみた。

「吉村さん、11月のどこかの週末、京都に一泊旅行しませんか? 東京と広島の中間点ということで京都はいかがでしょうか?」

僕は京都には詳しく、彼女を色々な場所に案内できる自信はあった。しかし、このメールを送ったことにより、彼女との関係が壊れてしまうかもしれない――そんな恐れはあったのだが、覚悟を決めて「送信」ボタンを押した。

そこから返信が来るまでの6時間ほど、後悔ばかりだった。あんなに長い6時間は経験したことがなかった。あぁ、送らないで、このメル友関係を続けていればよかったのかな……と思ったのだ。

しかし、返信は「よろこんで」というものだった。そこからは日程調整をし、同じ部屋に泊まることを同意したうえで、11月初旬の土曜日の朝、京都駅の新幹線の改札口で会うことになった。彼女と僕はさほど荷物を持っていないため、互いにリュックを背負って京都観光をすることになった。ホテルのチェックインは夕食の後でいい。