お互いを思いやっていることが大前提

今回の相談の主題、「ものすごい愛さんだったらどういう言葉を伝えますか」という質問について、お話しさせていただきますね。

わたしは「自分の気持ちはきちんと自分の言葉で言おう」と常々言っていますが、いつ何時なんでもかんでも伝えればいいというわけではありません。
もちろん感情を誤魔化したり部分的に隠したりする必要はないのですが、相手の状況は考慮したほうがいいですよね。

デートに誘ってくれる回数が少ないという事実から、「仕事が忙しいのかもしれない」「疲れているのかもしれない」と想像ができるはずです。
まずはそこを理解しないといけないと思います。
そのうえで、「最近仕事忙しいの? お疲れさま。落ち着いたらデートに誘ってね」と言う程度に留めます。
それに対して、「ほんとうに今忙しくていっぱいいっぱいでさ、落ち着いたら連絡するね」と返ってくれば相手からのアクションがあるまで素直に待ちますし、まあ付き合っていたらこういう時期もあるよな~と特段気にせず過ごすでしょう。
そして、状況が落ち着いてきた頃に改めて「忙しくて疲れているときは連絡ができないのはわかってるから、せめて事前に言ってくれると助かるかな。理由がわからないと心配するし不安にもなるからさ」と冷静に改善案を提示します。

そうやってこちら側が歩み寄ったのに、それっきり何か月も音沙汰が全くなかったり、暇を持て余して友達と頻繁に遊んでいるのに自分にだけ何もアクションがなかったりしたら、これなら付き合ってる意味ないよな~と、彼に見切りをつけると思います。
いくらなんでも、こっちにだって我慢の限界ってものがありますからね。

あなたは今回、話し合いをしようと頑張って歩み寄ったのに、思いがけず強い否定の言葉が返ってきてこわくなったようです。
自分が望んでいた答えや対応、たとえば「そうだったんだ、ごめんね。これから改善するね」とか、「じゃあお互いにどうしたら納得できるか一緒に考えよう」といった返事ではなかったからといって、あなた自身が否定されたわけではないということは知っておいたほうがいいと思います。

たしかに、彼の返事はキツい物言いだったかもしれませんし、あなたの中に存在しない価値観で戸惑ってしまったのかもしれませんが、あくまでも自分の考えと現状を伝えたに過ぎなかったようにわたしは感じました。
まずは彼の価値観を受け止めて、自分はどこまで相手の価値観を理解できるかを考えてはじめて、あなたが求めている話し合いに移れるのではないでしょうか。

お付き合いするうえで価値観の相違が露呈した場合、その擦り合わせは必要不可欠だと再三お伝えしていますが、そもそもそれはお互いがお互いを思いやっていることが前提になると思うのです。
相手が自分を思いやってくれていない事実に気づいてしまったら、価値観の擦り合わせには意味がないように思います。
先にもお話しした通り、“価値観の違いが露呈したときに擦り合わせようとする価値観を共通して持っているか”ということをわたしは重要視しているので、正直なところ連絡の頻度やデートをどちらから誘うかはどうでもいいのです。
見返りばかりを求めてお付き合いをするわけではもちろんありませんが、でも思いやりが自分から相手への一方通行なのであれば、付き合っている意味はないと思いますし、幸せとは言えないと思います。
相手を慮ったうえでの歩み寄りを無下にし続けるような人に心を砕き続けて、自分のことを傷つけたくはないですから。

あなたが彼について評しているように、話し合いをしたくないタイプの人は少なくないと思います。
「余計な揉め事は面倒だから避けたい」「気持ちを伝えて嫌われてしまうくらいなら、自分が我慢すればいい」「相手に合わせたり自分の意見を飲み込んだりするのは別に苦痛ではない」など、その理由はいろいろあるでしょう。
そういった考えの人がいても、別にいいと思うのです。
わたしは自身が0か100かの行動しかできない性格なこともあり、物事は0か100かで捉えられることばかりではない、と言い聞かせています。
常にじゃなくてもいい、“ここぞというとき”にきちんと向き合えるかどうかを、大事にしてはいかがでしょうか。そして、それが“いつなのか”も人それぞれ捉え方が異なるので、妥協してはいけないポイントのひとつだと思います。

何から何まであなただけのせいじゃない

一度好きになってお付き合いした相手とは、仲良しのままずっと一緒にいたいという気持ちは、とてもよくわかります。
今回このような結果になってしまったのは、とてもかなしいことだとも思います。
でも、先にもお話しをしたようにお互いの価値観はもちろんのこと、環境やタイミングなど自分の努力だけではどうしようもない時はあります。

あなたは自分の言動で反省する部分はあったのかもしれませんが、何から何まであなただけのせいではないということを、知っておいてほしいと思います。
新しい恋愛を始めたら、相手は彼とは全く別の人間になるのですから、今回の件で反省すべき点を反省し終えたら、次に生かしていきましょう。

かまってちゃんのあなたのままでも、別にいいんですよ。
かまってもらえないときにさみしい気持ちを相手に伝えるところまで進めたのですから、次は相手の状況からタイミングを図ってみるとか、今より少し依存先を増やしてみるとか、相手を慮れる“かまってちゃん”に着実にステップアップしていけばと思います。

せっかくつらい経験をしたんです、そのまま小さくなって過ごすなんで悔しいじゃないですか。経験として学んだほうが、絶対に得ですからね。
これは反省して自分の欠点を改善することだけを指すのではなくて、どんなに努力しても上手くいかない相手の存在を認識すること、相性があまりよくなかったり価値観がかけ離れている人に対してどこまで寄り添えるか自分の中のボーダーラインを確認することも、経験からの学びなんですよ。
こんな風に、自分の失敗を見つめ直して、次につなげるためにどうすべきだったか考えているあなたは、とても素敵だと思います。

Text/ものすごい愛
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