恋人の醍醐味は、得意/不得意を補い合うこと

年齢差なんてのは、お付き合いするうえで取るに足らないものなのです。
たとえば、あなたが社会人で彼が学生だとしましょう。
社会人のあなたは、就職活動中の彼に「面接でこんなことを話したら好印象だったよ」「エントリーシートを書くのがすごく大変だったから、アルバイトは無理しないほうがいいかも」など、自分の過去の経験からアドバイスをするかもしれません。

でもそれって、あなたが年上だから、彼が年下だからという年齢差によるものではなく、大事な人のために自分の経験を伝えるという恋人間における思いやりですよね。自分は年上だから恋人のワガママを全て受け止めなくちゃいけない、いつだって頼りがいがある自分でいなくちゃいけない、という思い込みは恋人間において不必要なことではないでしょうか。

年齢が離れていたらその分、経験の差が生じるのはどうしたって仕方がないことですが、だからこそ対等であり続ける努力は必要です。
社会に出てしばらくすれば、業務上での責任感も生まれて頼られることも多くなり、お手本になれるように「しっかりとしなくては」と背筋も伸びっぱなしでしょう。でも、プライベートでまで肩肘を張って生活をする必要は全くありません。
愛する人の前、全身の力を抜いてホッと一息つける場所では、誰だってオギャオギャバブバブ甘えていいのです。

ちなみにわたしたち夫婦は夫のほうが5歳上なんです。
会話の中で子供の頃好きだったアニメや漫画にギャップが生じることもありますが、特に歳の差を気にしたことはありません。
もちろん、一緒に暮らしていると「わたしよりずっと詳しいな」「頼りがいがあるな」と感じる場面はあります。
でもそれは、夫のほうが年上だからというわけではなく、わたしよりもその分野で得意というだけだと思っています。
逆に、年下であるわたしのほうが詳しい分野や得意なこともありますしね。
基本的には自分でできることは自分でやりますが、自分ではどうしてもできないこと、夫のほうが上手にできることは頼りつつ、また逆も然りで夫も苦手なことはわたしに頼ったりもします。
誰にだって得意/不得意がありますから、自分の得意な部分で相手の不得意な部分を補っていくことが恋人や夫婦の醍醐味ではないでしょうか。

この連載をまとめた書籍を過去に出版した際に、とある歳の差カップルの相談を書き下ろしたのですが、年上であることを武器に相手を支配してはいけないし、年下であることを武器にして相手に依存してはいけない、というお話しをさせていただきました。これは年齢以外にも共通して言えることですが、自分の立場や元々備わっている条件などを盾にして相手をコントロールしたり、プレッシャーに感じて知らず知らずのうちに自分を追い込んだりしてしまう関係は、いつか破綻を招きかねません。

「年上だから」「年下だから」というフィルターを通して相手を接するのは野暮ですし、時には失礼な態度とも捉えられます。年齢・性別・職業などの先入観を捨て、その人自身を見ることが人間関係を築くうえで最も大切にすべきことではないでしょうか。

無意識的に年上の振る舞いをしてしまう

「年上だからしっかりしなくちゃいけない」「年上だから相手に甘えてはいけない」ということは絶対にないので、今抱いている気持ちは綺麗さっぱり捨ててほしいのですが……無意識的に年上然とした言動をしてしまうんですよね。
その具体例については書かれていないため、簡潔に解決策を提案することは難しいのですが、いくつかお答えさせていただきます。

まず、金銭面について。
学生か社会人か違いもあるため一概に当てはまる話ではないのですが、もしもあなたが「自分のほうが年上だから」という理由から金銭的な負担が大きくて無理をしている状況だったり、あなたにかかっている負担の比重が大きいことを彼が当然のことと思っていたりするのであれば、即刻やめたほうがいいでしょう。
それは対等な関係とは言えないですからね。
もしも、あなたがかっこつけたいという心理が働いて自ら望んでしている場合も、独りよがりでしかないのでやめることをおすすめします。
今後も長く一緒にいたいと思っている相手なのであれば、尚更です。

次に、精神的な部分について。
たとえば、つらいときも「カッコ悪いところは見せられないから」とつらいと言えない、納得できていないけれど「年上だから余裕を見せて譲らなくちゃ」と我慢してしまう、という事実があるのでしたら、それも改善したほうがいい……というのはあなたもきっとわかっているはず。

無意識にやってしまっていることは、黙っていても勝手にどうにか治るわけではありませんから、どうしたって意識的になくしていくしかありません。
あくまでもわたしの推察ですが、それが二つ目の悩みである「彼に意見が言えない」にも通ずるのではないでしょうか。