アラサー女子の少女漫画スイッチ
中学の時、クラス対抗バスケットボール大会があって、
男女混合でチームを作らされ、
勝ち抜き戦をやらねばならなくなりました。
こういう学校行事の全ては、
運動会然り、文化祭然り、
クラス内ヒエラルキー最上級の
人気者女子&男子たちがカップルになるために存在するイベントであって、
私のように、クラスの端っこでいつも彼らを観察しながら
「あの中に入りたいけど、どうせ一生相手にはしてもらえまい」と
ひねくれた気持ちを抱える地味女子には、全く面白くないんであって、
心の底から、一ミリも参加したくなかったです。
人気者女子&男子たちが
「もー男子、練習用のボールよこしなさいよー」
とかなんとかって戯れている隣で
完全に蚊帳の外な自分の惨めさと敗北感が
日頃よりも際立つ。この引き立て役感半端無い。
呪われし一日よ、早く終わり給え…そんな祈りを神に捧げる私。
願い事はもうひとつ。
「勝ち負けとかどうでもいいから
とりあえず、一組もカップルが成立しませんように」。
そんな気持ちを抱えつつの一試合目。
相手チームには、学年の中でもちょっと有名な男子、
花より男子のF4的な、目立つ系男子の一人がいました。
アイドル好きな私は当時からイケメンには一目置いていたので、
F4男子にも、その他の半端な人気者男子(←憎悪の対象)とは違って、
憧れのような感情を持っていたのですが、
F4男子の中で、唯一苦手だったのがその人で、
なぜなら、ちょっといきがってるっていうか、
かっこつけすぎだったんですよね、その人。
彼の行動のひとつひとつに
「こうやれば女の子は喜ぶでしょ?」
「こう言えば先生は嬉しいでしょ?」みたいな
計算が見え隠れしている気がして、嫌だったのです。
バスケ部の彼は、もう試合開始前から
「今日は俺様の日だぜ!」みたいオーラを放っていたので
「はいはい、どうぞ活躍してくださいね」と戦意を消失した私。
やる気ゼロでも義務教育という仕組み上、試合には出ざるをえないので
仕方なく…誰の邪魔にもならないように
クラゲのようにコートを浮遊していたところ、
ドリブルして攻めてくるF4男子に跳ね飛ばされました。
「はう…!」
痛いけど、F4には透明人間みたいな私、見えてないよね。
案の定、彼は地味な私のかぼそい声など気づかず、
そのままゴール下まで走り抜けていって華麗にシュート。
大衆の歓声を浴びて、コートの中心に戻ってきました。
その時に、予想もしないことが…!
なぜか彼、私の方向へまっしぐら。
さては、ぼーっとつったっていたことを
責められるのかと思いきや、満面の芸能人スマイル
(歯をニカって出すやつ)でこっちによってきて、
「さっきはごめんな」って言って、
私の頭をぽんと、たたいて行ったのです…!!!!!!!
一瞬の出来事。しかしそれは私を発狂させるのに十分な出来事でした。
何今の!!!!!
え?ってか何今の!!
今、F4様が私に…こんなに地味でブスな私に
「ごめんね」…って…頭ぽんぽんって…
頭…頭…今、頭…私の頭…なでましたよね!!!!
その瞬間、私は恋に落ちました。
わかりやすくかっこつけるかっこつけマンの
キザな行動に見事にハマった。
その後、無事うちのチームは彼のチームに負けたので、
その日は一日中彼の試合を見ながら、
「あんなふうに頭をなでたのはもしかして
私の存在を前から知っていたのかしら」と
幸せな勘違い妄想をふくらませました…。
そんな遠い過去の出来事から、はや十数年。
先日、とある飲み会で、あのバスケ部F4の出来事が
プレイバックする瞬間がありました。
それは、男女混合の飲み会だったのですが、
(それを人は合コンと呼ぶのかもしれない)
その中に、モテることを自分でもわかってるタイプの、
いかにもモテそうなイケメンがいて、
写真撮影の時の顔のつくり方もうまいし、
最近の彼女と別れた理由が
「付き合ってみたらあんまり好きじゃなかった」っていう
ああ、もうそれはモテる人しか言えないですよそのセリフって感じの
理由だし、もう、元地味女子にしたら、こういう
わかりやすいイケメンって、問答無用で「敵」なんですよね。
それで、「ああ、いるよねこういう人」と思っていたら、
彼が!!何かの瞬間に、なでた…!!私の頭を…!
それに、私、ここ最近で一番の胸キュンを覚えました。
やばい…13歳の時から全く成長してないわ…。
ってわけで、私はイケメンに頭を触られたら
大体、好きになってしまうみたいなんですけど、
その話を熱く友人たち(いずれもキャリア女子・彼氏ナシ)にしたら
「わかる…!!」って大共感の嵐。
「そうそう、なんかもう、昔はそういうかっこいい人に
騙されないっていう警戒心のほうが強かったけど
一周まわって、もう今はかっこいい人に騙されたい!」
「頭触られるとか、さりげなくおでこにコツンとか されるともうダメだわ!!!好きになってしまうわ!!!」
そんなわけで、アラサー女子は私に限らず
わかりやすい少女漫画みたいな展開に弱いみたいです。
バカですよね…。でもどうしようもないんだよ。
そして男性へのアドバイス。
女子の少女漫画スイッチは、おでこの上にあります。ほんと。
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Text/伊藤春香(はあちゅう)
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