ゲーム仕立てがちょうどいい塩梅

TangoのCEOであるスミスさんは「私はかつて自分の欲望とは程遠いところにある『バッドセックス』をしていた。ネット以外でセックスについて語れる場所はなかったし、抱えている思いをパートナーにどう切り出すべきか、自分の欲望とどう向き合うべきか、セックスについての知識がなかった」と語る。

確かにセックスについて深く話すのって、セックスをするよりも勇気がいることだと思う。実際、Tangoの調査によると、アメリカの女性の75%がパートナーとの付き合いが長くなるにつれてセックスもマンネリ化してくるが、その解消方法がわからないという。さらに女性の5人に1人はセックスに関する欲望を相手にどう伝えていいかわからないと悩んでいるとも。

え、アメリカンガールって強くて思ったことは何でも言ってそうなのに意外……と一気に親近感が湧いた。しかしそこでスミスさんは「Life is too short for unsatisfying sex.(人生あっとゆーま、満足いかないセックスに時間使ってる場合じゃねーわ)」ということで(やっぱこの辺はアメリカっぽい)、世のカップルがお互いに満たされるセックスができるように、またそれがより親密になるための手段であってほしいという思いからTangoをローンチしたのだという。

実はTangoは昨年まで「Kinkkit」という別のブランド名で、主に性的トラウマを抱える人がその傷と向き合い昇華させるためのアイテムを展開してきたが、今回新たに「パートナー同士が絆を深めるためのキット」へリブランドしたのだという。

Buzzfeedでは「このトイがベッドルームでの営みをより良いものにしてくれ、さらにパートナーとのつながりを深めることで、気持ち良いものにはイエスを、不快だと思うものにはきちんとノーと言えるようになるだろう」としており、BLOOD+MILKも「カップルのSexperiments(セックス経験)を高めてくれる」と各メディアでも好意的な評論が目立つ。

個人的には、サブスクを開始したら定期的に届くし、「ゲームしようよ!」とパートナーを誘いやすい点が良いなと感じた。またゲーム仕立てが恥ずかしさを紛らわせてくれるし、「この間のアレ、すごくよかった!」という会話も弾みそうだ。よりお互いを深いレベルで分かり合えるきっかけになると思う。

Tangoは日本からも購入可能だという。いきなりサブスクはちょっと……という人には単品で購入できるプランもあるので、興味がある人はチェックしてみてはどうだろう。

日本でもカップルのセックス観をすり合わせるオンラインサービスなどが出始めている。Tangoのようにお互いの価値観がわかった後で、それを実践に持ち込ませてくれるゲーム形式のサービスは日本人とも相性が良さそうだなと感じた。

こういう便利で面白いテクノロジーはガンガン使っていこう! 以上テックウォッチャーのレポートでした!

Text/橋本沙織