トリプルファイヤー・吉田靖直が語る!架空のニューアルバム『居場所』の全曲解説

今年1月2日にテレビ東京系で放送された『共感百景』において、独特の言語感覚とキャラクターを発揮し、「最優秀共感詩」を受賞して注目を集めたバンド“トリプルファイヤー”のボーカル・吉田靖直さん。
そんな彼が、前作『おひとりさま』に引き続き、存在しない架空のニューアルバム『居場所』を妄想で制作。その収録曲を自ら解説していただきました。どんな曲なのか想像しながら、お楽しみください。

こんにちは。トリプルファイヤーというバンドでボーカルを担当しております、吉田と申します。

前回、『SOLO』の開設を記念して『おひとりさま』という架空のアルバムを制作させていただいてからはや数ヶ月、このたびセカンドアルバム『居場所』をリリースする運びとなりました。
実際は存在しない力作『居場所』をリスナーの皆さまにより深く楽しんでいただけるよう、今回も簡単に曲を紹介します。

トリプルファイヤー 吉田靖直 1.この席しか空いてなかったから~最後に入店~

大人数の飲み会においてもっとも判断力を試される状況といえば、入店してすぐ、自分の席を選ぶタイミングでしょう。適当に近くの卓に座ってしまった場合、「つまんねえ奴が来たな」と思われるリスクは避けられません。
しかし、一番最後に入店すれば、席選びの選択肢がなくなり、自動的に自分の居場所を作ることができます。その卓で全く会話に入れなかったとしても、それは自分のせいではありません。
ラストのサビで繰り返される「別に好き好んでこの席を選んだわけじゃねえし」の咆哮が耳に残る、珠玉の一曲です。

トリプルファイヤー 吉田靖直 2.その水はこちらに寄りすぎている

席に仕切りのないラーメン屋や牛丼屋では、自分の居場所は自分で作り出さなくてはいけません。ボーッとしていると自分のスペースはなくなり、体を傾けたまま飯を食べざるをえない状況に追い込まれます。
水を渡された時点から戦いは始まっています。「少しずつ水をむこうへ寄せるんだ 偶然手が当たったかのように」の一節には、Vo.吉田のルーツであるパンクロックの闘争精神が色濃く反映されているといえるでしょう。

トリプルファイヤー 吉田靖直 3.俺はOB

たとえば、サークルや部活のOBが打ち上げに遊びに来たら、実力や実績がなく、大して面白い話をしないOBだとしても、後輩は周りを取り囲み、盛り上げるのが普通です。
しかし、昨今は伝統的な年功序列制度が崩れ、せっかくOBとして顔を出したにもかかわらず居場所がない、全く求められていないと感じられるケースも増えました。
「遊びに来たよ」「先輩!先輩!」「遊びに来たよ」「先輩!先輩!」
楽しい掛け合いで、本来あるべきOBの扱い方を提示するメッセージソング。

トリプルファイヤー 吉田靖直 4.クラスで一番エロい人

勉強やスポーツ、トーク力などのアピールポイントがないと、クラスでの居場所がなくなってしまいがちな学生時代。しかし、そのようなわかりやすい長所がなかったとしても、性に関する知識を磨くことで一部の間で居場所を作り出すことはできる、そんなメッセージを込めました。
「駅弁は知ってる? 松葉崩しは知ってるかい?」
まっすぐな問いかけが胸を打つ、新たなバンドの方向性を示した曲。