ひとり純喫茶

ふわふわ焼きたてオムレツサンドの夢/学芸大学の純喫茶・雑伽屋

東西で違うというタマゴサンドイッチの中身。東京育ちの難波さんが夢にまで見る食べたい味は、学芸大学にありました。

純喫茶、あの味 難波里奈 雑伽屋 ©『雑伽屋』

 「タマゴサンド」というと皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
店ごとに個性が光り、同じものはないところが面白い純喫茶メニューですが、「タマゴサンド」にも地域ごとの特徴があるようで、一般的に、東ではゆで卵をつぶしてマヨネーズや塩こしょうと和えたサラダタイプが、西ではふわふわに焼き上げられたオムレツタイプが多いとされています。

純喫茶、あの味 難波里奈 雑伽屋 ©『雑伽屋』

 私は東京で生まれ育ったのですが、純喫茶に夢中になりそのようなことを意識するまで自分の中では「タマゴサンド=タマゴサラダが挟まっているもの」という認識でした。実際、幼い頃に母が作ってくれたタマゴサンドはゆで卵が半熟だったり固ゆでだったりの違いはありましたが。一度もオムレツタイプだった記憶はないのでした。

 どちらのタイプも美味しく、優劣をつけることは不可能なのですが、私の場合ふと食べたくなってしまう時、思い浮かべるのは焼き立てで熱々のオムレツが挟まれたものでした。

純喫茶、あの味 難波里奈 雑伽屋 ©『雑伽屋』

 先日のこと。私は夢の中にいて、どこかの純喫茶にそれはそれは美味しいタマゴサンドがあると聞き、遠方まで食べに来ているところでした。その純喫茶はかつて訪れたことがあるような、まだ見たことがないような空間。というのは窓から差し込む光が眩しすぎたため店内の輪郭がぼやけてしまっているのでした。注文を済ませ、運ばれてくるのをそわそわして待っている。今日はこのタマゴサンドのために朝食も食べずに急いで朝一番の電車でここへやってきた。あと数分後、どれだけの幸せに包まれるのだろう!……ところが、夢らしい夢だったおかげでここで目覚めてしまったのです。

純喫茶、あの味 難波里奈 雑伽屋 ©『雑伽屋』

 夢の中とはいえ、評判のタマゴサンドを食べ損なってしまった悲しみ。仕事が終わったら必ずや夢で想像していた味を上回るサンドイッチを食べよう、この日はその強い思いだけで夜を迎えました。そして、真っ先に思いついた学芸大学の雑伽屋を目指し、ベーコンとオムレツに加えてチーズもトッピングし(通常メニューでは2種類の具を選べますが、+100円でさらに具を増やせるとのことです)、贅沢な美味しさにすっかり満足したのでした。濃厚なクリームがたっぷりなアイスウィンナーコーヒーも一緒に。

Text/難波里奈

純喫茶、あの味 難波里奈 『純喫茶、あの味』

難波さんの新刊『純喫茶、あの味』に興味がある方はこちらから!

※2016年8月5日に「SOLO」で掲載しました