隣の芝生はいつだって青い

 ……という私の話は脇に置いておいて、「(主に好きな人の前で)素直になれない」という声を、女性の間でよく聞きます。本当は好きな人に甘えてみたいけどガラじゃないからできないとか、上手く本音が言えないとか、めんどくさい女だと思われるのが嫌だから不満を吐き出せないとか。そして、好きな人の前で屈託なく笑うことができて、素直に甘えられて、相手を手のひらで転がしながら自分のペースに巻きこんでいく力を持っている隣の女性を、「私も、あの子みたいにできたらいいのになあ」っていつも羨ましく思っている。「女性の間で」と他人事のように言いましたが、もちろん私自身も、そうやって羨ましがることはあります。

 だけど、そんなふうに思ってしまったとき、私はいつもあの数年前の出来事を思い出すんです。私たちには、見えない部分を勝手に脳内で補ってしまうどうしようもない癖がある。「あの子はいつも上手くいっている」と決めつけて、都合よく羨ましがって、落ち込んでいる。だけど、実際に近くにいる知人友人と話してみたり、いろいろな女性が書くエッセイやブログなんかを読んでみると、いつも素直で明るくて、好きな人に上手に甘えられて、常に屈託のない笑顔を振りまくことができている女性なんて、この世に絶対に1人もいないです。

「かわいげがなくて素直になれない」のは、たぶんみんな一緒

 みんな多かれ少なかれ、「私はかわいげがないなあ」って思っているし、「素直になれないなあ」って思っている。相田みつをみたいになってしまいますが、だって、人間だもの! いつも本音を言うことができて、素直で可愛くいられる女性なんて、幻想の中にしかいないんじゃないでしょうか。
常にかわいくて屈託のないように見えるあの子だって、それを24時間365日やれているはずがない。私たちに見えているのは、彼女の薄っぺらい表面だけです。

 世の中は、素敵な女性や才能を持った人であふれ返っています。彼ら/彼女らを羨ましく思うことも、嫉妬してしまうことも、減らすことは可能でも、完全になくすことはできないのでしょう。

 だけど、彼ら/彼女らが陰でどんな努力をしているか、どんな涙を流しているかを知りもしないで、「いいなあ、私にはできない」と指を咥えたままでいるのは、実はすごくずるいことなのかもしれない。

「あの人の中には、今の私には見えていない部分がある」。
難しいけど、仕事や恋愛で誰かを羨ましく思ってしまったとき、これだけは覚えておきたいと私は思うのです。

Text/チェコ好き

※2017年11月30日に「SOLO」で掲載しました