独身女性の人生のロールモデル。誰にするのが適切だろう?

「独身女性のロールモデル」について考えてみた

女性が物思いに耽る写真

 昨年大ヒットしたドラマ、海野つなみさん原作の『逃げるが恥だが役に立つ』。私はあいにくドラマは見ていなかったんですが、原作となったマンガを読むことで、なんとか流行についていこうと悪あがきしました。

 こちらの作品、偽装夫婦となった主人公たちの物語も興味深いですが、SOLO的に注目したいのはやはり高齢処女で独身の、ドラマでは石田ゆり子が演じていた“百合ちゃん”だったのではないでしょうか。

 私が百合ちゃんの姿でいちばん印象に残ったのは、コミックス第8巻で年下の友人・風見さんに、「年をとって一人なのが怖いっていう人に、あの人がいるじゃないかって安心するような存在になれたらなって」と語るシーンでした。
百合ちゃんは独身で子どももいないけど、バリバリ仕事をして一人で楽しく暮らしています。だから、結婚して子どもがいないと不幸なのではないかと悩む若い女性たちの救いになってあげたい。おお、なんだかこのままSOLOで連載を持っていただきたいですね。

 この百合ちゃんと風見さんのやり取りを読んで、私は「独身女性のロールモデル」についてちょっと考えてしまったんです

「尊敬できる憧れの女性」という枠

 みなさんは、自分より年上の40~50代の女性たちの中に、「将来こんなふうになれたら素敵だな」と思う女性はいるでしょうか。
私は正直なところ、いません。それは、今を生きる40~50代の女性に魅力的な人がいないというわけではなくて、たぶん無意識のうちに、「お手本」を探さないようにしているんだと思います。

「将来こんなふうになれたら素敵だな」と私が思う人は、なぜかいつも男性です。女性をお手本にしてしまうと距離が近すぎて、その人と自分の差異が一向に埋まらないことに焦って、落ち込んでしまいそうなんです。
男性相手だと、差異が埋まらなくても、「まあ性別ちがうしな」と気にせずにいられる。……と書くと私がダメな奴みたいですが、女性に憧れを抱く女性ってやっぱりとても真面目なんだと思います。

 年上の女性が相手だと、彼女の考えで「それはちょっとちがうのでは?」と違和感を覚えても、私は言葉をぐっと飲み込んでしまいます。自分の考えのほうが間違っているのかな、ということにしてしまう。
日常生活レベルではそれも大人の処世術の一つかもしれないけれど、人生レベルでそれが起こることを、私は避けているんだと思います。一方、憧れの人とはいえ相手が男性だと心理的な距離があるので、「いや、それはアンタの頭がおかしいだけでしょうよ」と突っぱねることができて、私にとってはラクなんです。

 だから年上の女性に憧れることはやめて男性にしましょう……って話では全然ないんですが(そもそも誰かに憧れる気持ちってコントロールできるものじゃないですから)、たとえ年上の、それも憧れの女性が相手でも、「この人の言ってることおかしくない?」という目線は常に持っていていいと私は思います。

 憧れの女性とはいえ、その人だって人間なのだから、弱い部分も間違っている部分も、自分とは合わない部分もあります。年齢を重ねた自分のイメージを一歩先に進んで作ってくれる女性がもたらしてくれる安心感や救済の言葉は、とてもありがたい。だけど、この人生を生きるのはやっぱりどうしたって自分です。