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『ライ麦畑でつかまえて』は、パートナーへの要求水準を下げる!?

 私が主催する架空の婚活塾において、なぜ課題図書が『ライ麦畑でつかまえて』なのか、そろそろわかっていただけたでしょうか。架空の生徒さんたちにお伝えしたいのは、神経質で、融通が利かなくて、スマートさの欠片もないような不器用な男でも、悪いやつじゃないんだから別にいいじゃんってことです。
気がよく回って話が面白い男性もたしかに魅力的ではありますが、彼らとはまたちがった魅力が、31歳になったホールデン君たちにはあるように、私は思います。悪いやつじゃないし、ちょっと頭の中身を解剖させてもらってのぞいてみれば、彼らだってそこまで複雑なことを考えているわけじゃありません。

 きっと、こちらが理解を示して話合えば、そこそこわかりあえる仲になれるんじゃないかと思います。だから、いわゆる「結婚向きな」「モテる」「明るい」男性じゃなくたって、十分にパートナーとして考えることはできるよ、って私は生徒さんに伝えたいのです。
妙齢の女性が『ライ麦畑をつかまえて』をはじめとするサリンジャーの小説を読むことで、パートナー候補となる男性の間口を広げることができるのではないか、というのが私の仮説です。

 もちろん、独身街道を爆走していたって本人が楽しかったらそれはそれで別に全然いいんですけどね。まあしかし、婚活塾の課題図書に何を選ぶか、というのは考えてみるとけっこう意見が分かれて面白いかもしれません。あなただったら何を選ぶでしょうか、塾長さん?

※2016年3月25日に「SOLO」で掲載しました

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